保守主義の哲学(雑)‐‐‐エドマンド・バーク保守主義者による今日の雑感H221107 [政治]

 エドマンドバーク保守主義者による本日の雑感(平成22117日)

 読者の皆さんへ

 まず、以下の二つの産経新聞の記事を読んで頂きたい。記事1と記事2である。

 ――記事1【尖閣ビデオ流出】船長逮捕シーン皆無は政治的意図 識者が徹底分析(ここから)――(2010.11.6 20:57 msn産経ニュース)

 投稿者は憂国の士か、あるいは愉快犯か-。どちらにしても、今回の告発が、中国に配慮し続ける菅政権の対中外交に不満を持つ、多くの国民を勇気づけたことは間違いない。ただ、法治国家である以上、事件性も含めて犯人特定に向けての調査は進む。今回の尖閣ビデオ流出が提起した問題点、今後のポイントを識者に聞いた。

 ●菅政権の緩さ

 元内閣安全保障室長の佐々淳行氏は、「私が現役なら、絶対にこんなことはさせなかった。民主党政権は、機密情報の管理体制を語る以前に情報の取り扱い方をまるで分かっていない」と怒りをあらわにする。

 「今回の映像は初動段階で公開すべきもの国家機密でも何でもない。それを菅内閣が勝手に機密化した警視庁公安情報漏洩も、捜査協力者や他国の諜報機関との信頼関係を根底から崩す非常事態担当大臣外務大臣各国に事情説明とおわびをした上で、徹底究明すべき由々しき問題にもかかわらず、内閣周辺からはそういった危機感がまるで感じられない

 ●隠された意図

 佐々氏は衝撃的な内容以外に次のような意図も読み取る。

 「中国の不法行為を証明する場面は、酔っぱらって抵抗したとされる船長の逮捕シーンだが、流出した43分間の映像には一度も映り込んでいない。これは明らかな政治的意図で、これ以上、菅政権が、国家国益をおとしめるような対中外交を進めるなら『第2第3の公開もあり得るゾ』という強い意志がうかがえる」

 個人的には「今回の“犯人”には(国民に真実を伝えるという意味で)もろ手を挙げて拍手喝采を送りたいところ。だが、元国家公務員の矜持で自重している」とも。

 ●意外と微罪

 告発された場合、流出させた人物はどのような罪に問われるのか。

 弁護士の紀藤正樹氏は「海保からの流出を前提にすると、国家公務員法第100条秘密を守る義務違反に問われる可能性がある」と指摘する。

 その上で、刑事事件化するなら海保を原告とした被疑者不詳の国家公務員法違反が適当」。同法違反は、1年以下の懲役又は3万円以下の罰金のため、意外と微罪だ。

 “犯人”像については、「海保から那覇地検に提出され、国会議員が見た映像と、投稿映像が異なる以上、今回の出元は海保内部と判断しやすい。となると、投稿者、あるいは投稿を指示した人物は、現場の海保職員である可能性が高くなる」とみる。

 「映像の編集を外部に委託し、そこから漏れることも考えられ、仮にそうなら編集業者に対し守秘義務違反を問える。だがその可能性は低いのでは」

 ●“捜査”の方法

 気になるのはどうやって犯人を突き止めるのかということ。インターネットプロバイダー支援業務のネットセキュリティ(東京)は「捜査方法は、巨大掲示板『2ちゃんねる』の書き込みと同じ」(戸川仁マネジャー)と解説し、こう続ける。

 「まず捜査当局が『YouTube』を運営する米グーグル本社に、日本法人経由で、裁判所の命令による投稿者のIPアドレスやログ(アクセス記録)の開示を請求。これで、投稿者が使用したサーバーやプロバイダーが判明し、ユーザー個人の情報がつまびらかになる」

 だが、ことはそう簡単ではない。投稿者が身元を割れないようにするなら、警視庁公安部の情報漏洩と同様、海外サーバーを経由させればいい。

 投稿に至るまでに、複数の外部サーバーを噛ませれば発信元の特定は困難。海外のサーバーには、IPアドレスやログが正確に記録されていないケースも多く、その場合、発信元の追跡は難航を極める。

 「ただし、(動画投稿の場合)こうした細工をすると動作が非常に“重たく”なるため、今回の映像のように容量が大きい動画を複数投稿するのは不便で疑問。投稿者は、身元がバレても構わない『超確信犯』とも考えられる」

 ――記事1【尖閣ビデオ流出】船長逮捕シーン皆無は政治的意図 識者が徹底分析(ここまで)――

 次に記事2である。これは、本年3月9日の記事である。

 ――記事2【正論】同盟を弱める「密約」の全容開示 西原正(ここから)――

 (2010.3.9 03:53 msn産経ニュース)

 【正論】同盟を弱める「密約」の全容開示 西原正

 岡田克也外相が熱心に打ち込んでいる、核持ち込みに関する密約」の調査検証作業が有識者委員会で終了し、その成果がまもなく全容開示されると報じられている。しかし、鳩山由紀夫政権は、全容開示した後に、それを「日米同盟の深化」にどう結びつけようとしているのかが見えてこない。逆に日米同盟を弱めることになることを憂慮する。

 ● 何のための解明なのか

 密約の開示は、過去の日本外交において、どのような約束がなされていたかを正式に国民に知らせるという効果はある。しかし同盟国の一方が相手国の同意を得ないで過去の交渉過程を一方的に調査結果を一方的に公表することは、外交関係の成熟度を疑わせることにならないだろうか。同盟国の米国はそうした日本と安心して機密にわたる安全保障の協議を今後する気になるであろうか

 戦後の平和主義反核機運の強かったころ、自民党政府は一方で米国の核抑止力に依存しながら、他方で核兵器の国内配備を回避することに苦心していた。それは反核勢力(政党でいえば、当時の社会党系、現在の民主党左派社民党など)が「米国の核戦争に巻き込まれかねない」との不安をかき立てたからである。

 ● 非核3原則は有用な虚構

 日本は、米国の核の傘に入りながら(つまり核の抑止に依存しながら)、核兵器の持ち込みを例外なく拒否する(非核3原則)という公式路線をとった。そして「米国の核持ち込みは事前協議の対象になる。しかし米国が協議を申し出ないのは、核の持ち込みがないから」という強弁を保った。

 実際には、米国の核搭載艦船の日本寄港および日本領海通過を容認した。これに対して、米国は、ある艦船が核を搭載しているかどうかは肯定も否定もしないという“あいまい戦略”をとった。

 結果的に見て、米政府の核の存在を明らかにしないという戦略と、日本政府の核搭載艦船の寄港を拒否するという組み合わせのおかげで、見事に日本の安全を維持することができたのだという側面を、岡田外相看過すべきではない。米国の核の存在に関しては、あいまいにしておくという政策は、事前協議制を有名無実にしたかもしれない。しかしまさにそのことで、日本を米国の核の傘のもとにおくことができたのではなかったのか。密約は非核3原則という虚構を見事に支えたといえるのではないか。

 外交交渉には往々にして公表できない秘密了解事項が伴う。日米安保条約改定交渉や沖縄返還交渉の際、核兵器の扱いでもし了解事項をすべて開示していたならば、いずれの交渉も瓦解していたであろう。沖縄返還は密約のおかげで実現したのである。その意味で、密約は必要悪というべきで、マスコミなどが言うように、戦後史の暗部ではない

 それにもかかわらず、岡田外相が過去の密約を徹底的に解明し、今後の日本が非核3原則を厳格に順守しようとするなら、それは日本が米国の核の傘に入ることを拒絶することを意味する。

 密約解明と合わせて、岡田外相核の先制不使用(相手国が核攻撃するまで核を使用しないこと)を唱導している。そして、北東アジアの非核地帯構想も打ち出した。これらは、米国の核抑止力をそぐことになる。

 結局、岡田外相は日本のニュージーランド化を図っているとしか思えない。同国は1984年、米国の核搭載艦船から原子力船舶まですべての核関連の船の寄港を拒否した。それに対して、米国が同盟関係を断絶することで報復したことを想起すべきである。

 ● 非核「2・5原則」に進め

 冷戦後の1991年、米国は艦船からすべての戦術核を取り外すと宣言したので、それ以降は名実ともに非核3原則を順守していることになる。しかし米海軍が本当に戦術核の搭載を停止したかどうかは分からない。おそらく停止しているであろう。しかし日本としては米国に回答を詰め寄るのではなく、むしろあいまいにしておくのが賢明である。

 北朝鮮が核を保有し、中国の軍事能力が拡充している現在、日本にとっては米国の核抑止力は一層重要になってきている。オバマ大統領などが唱えるような「核なき世界」の樹立のために、日本も努力していくべきであるが、他方アジアの現実は簡単に「核なき世界とはなりそうにない

 米国の核抑止力が効果を持つためには、非核3原則をあいまいにしておくか、あるいは核搭載艦船の日本寄港を容認して、同原則を2・5原則に修正すべきなのである。米国の同盟国である韓国やオーストラリアは、過去何十年にわたって、静かに非核2・5原則でやってきた。これは、現在の米艦船が核搭載することを求めるということではなく、その可能性を用意しておくことを意味する。

 岡田外相の密約解明の作業はここまで行かなければ意味がない。外相には戦後日米関係史の検証作業だけをしている余裕はないはずだ。(にしはら まさし=平和・安全保障研究所理事長)

 ――記事2【正論】同盟を弱める「密約」の全容開示 西原正(ここまで)――

 →〔=ブログ作成者〕の雑感記事1記事2を比較すれば、民主党とは、国家機密にすべきこと国家機密にすべきでないこと判断もできない愚鈍政党であることがよく解るであろう。

 記事2では、日本国の安全保障上、最も秘密にせねばならない同盟国と共有する国家機密」を、米国の信義を裏切るような強引さで平然と公開」しておきながら、記事1では日本国の安全保障上最も公開せねばならない事実」を「国家機密」扱いにして隠蔽するという狂気である。

 この尖閣諸島問題の本質は、事件発生当時から日本国政府のとる稚拙で卑怯な行動にあるのであって、それ以上でもそれ以下でもない

 いわんや、己の身の危険を犯してまで、日本国と日本国民のために職務を誠実に遂行した海上保安庁現場の職員が、日本国政府日本国民から、賞賛されても罵倒される筋合いなど皆無である

 その勇敢な行動栄誉を讃えられるべきである。だが、管直人政権は彼らに責任擦りつけようとしている。

 また、中国人船長を釈放した、那覇地方検察庁全く責められる筋合いはない

 現実問題として、このような外交に関わる特殊な個別事件について、那覇地方検察庁という一組織独断で決定を下すことなどできない

 今回のビデオ流出事件などは、政府(=管直人民主党政権)が日本国民に真の証拠品である“実物ビデオテープ”を公開せずに、10分程度に短縮編集した偽造品(=実物とは別のビデオテープ)」を公開したことに原因があるのではないのか。

 “証拠品”に手を加えて別のものをつくる。つい最近、どこかで聞いたような話ではないか。

 (閑話休題

 私〔=ブログ作成者〕の住む地方の地方新聞(2010117日)の第3面に次のような記事があった。

 『環太平洋連携協定 基本方針決定』

 記事の最後にこう書いてあった。

 ――――――――――

 『何兆円でも

 今後の国内論議で焦点となるのは農業振興策。今のところ決め手は見いだせていない。政府は首相を議長とする「農業構造改革推進本部(仮称)」を設置する方針。当面のテーマは戸別所得補償制度の拡充など「農業強化という名目の保護」(首相周辺)ぐらい。

 首相関連経費について周辺に「何兆円になってもおれが責任を取る」と断言、農業振興と貿易自由化との両立に強い意欲を示す。

 ――――――――――

 私〔=ブログ作成者〕の疑問:「何兆円になってもおれ(=管直人)が責任をとる(だから財源など気にするな)」そうである。

 この言葉を日本国民はしっかり覚えておこう。日本国民が「税金で責任を取る必要はない」ということである。

 仮に、日本国の農家が倒れていった場合の、農家への補償費などは「管直人個人責任を取るらしい。

 なぜなら、〔=ブログ作成者〕も読者の皆さんも、それらの補償費を国民の税金で補償することに同意していない

 国家の財布に対するこの杜撰な感覚

 あきれて何も言えない

 こんな感覚であるなら、数兆円が簡単に何とかなるならば、「事業仕分けのような意味のないことを最初からするなと言いたくなるのは〔=ブログ作成者〕だけであろうか。

 民主党とは、全く出鱈目な政党であり、民主党政権とは愚鈍政治屋集合体である。

 エドマンドバーク保守主義者(神戸発)


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shinseihoshu

バーク保守主義者殿

常々思っていたのですが、「非核三原則」に関して、
その問題点や今後の課題について論じられる事は多いのですが、
その出自や形成にいたる経緯について説明されているものは、
殆んど見る事がありません。
貴殿は既知であると思いますが、
この「非核三原則」なる百害在って一利なしの愚を、
最初に「提案」し、「国是」にまで持ち上げることに血道を挙げたのも、
かの成りすまし「保守」、狂える反日極左「中曽根康弘」です。

by shinseihoshu (2010-11-07 22:49) 

鳳山の6時

又、「反戦・反核・平和」運動が、例外一つとして無く極左・左翼(特に日共)の宗教運動である事を。「ピースボート」「ピースデポ」「リムピース」等の「反戦・平和」カルト集団の背後に仮想敵国がいる事を。「保守」の論壇にネットでも、この事は、ほとんど触れる事は有りません。一方で、田母神俊雄・兵頭二十八・伊藤貫・小林よしのり等の「核武装論」にも御用心。何れも「反米=親ハートランド=反日」で共通しています。
by 鳳山の6時 (2010-11-30 15:54) 

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