保守主義Series-10--- E・Burke『フランス革命の省察』に学ぶ;“世襲(相続)の原理” [政治]

 読者の皆さまには、いつも〔=ブログ作成者〕の稚拙な小論をお読み頂き、深く御礼申し上げます。

 さて、今回Series 10は、エドマンドバークフランス革命の省察』の中から、英国憲法基本原理の一つある“世襲相続の原理について、バークの主張を拾い上げ、かつ今回の解説は、その重要性ゆえに、バーク保守主義(=真正保守主義であり、碩学政治哲学者である中川八洋 筑波大学名誉教授『保守主義の哲学』から、一部抜粋し、掲載させて頂くのが最善であると〔=ブログ作成者〕は判断した。

 さて、社会主義共産主義思想唯一無比強力解毒薬である保守主義の父エドマンドバークの『フランス革命の省察』における最強保守哲学日本国民拡散し、徹底周知しておくことが徐々に民主党社民党共産党その他の社会主義政党などに破壊的打撃与えていくであろうことを〔=ブログ作成者〕は確信して、エドマンドバークの『フランス革命の省察』を真正保守自由主義の立場から正しく邦訳しなおして、逐次ブログに掲載し、日本国中復活させる所存である。

 読者の皆さまにおかれましては、我々祖国日本社会主義汚染から“道徳ある自由主義”・“確固たる立憲君主制議会制デモクラシー”の真正日本国の姿へと救出奪還回復するため、“バーク保守哲学”、“真正保守自由主義哲学”の日本国全土への大拡散ご協力願いたい次第である。

 なお、邦訳文は、半澤孝麿訳(『フランス革命の省察』、みすず書房)を基礎として、細部について、前後段落等のバークの論旨忠実に従って、〔=ブログ作成者〕が補足更訂して理解しやすく改善したものである。

 邦訳文中の( )内は〔=ブログ作成者〕が補足説明したものである。

 ―――――

 In the famous law of the 3d of Charles I. called the Petition of Right, the parliament says to the king, Your subjects have inherited this freedom, claiming their franchises not on abstract principles as the rights of men, but as the rights of Englishmen, and as a patrimony derived from their forefathers.

 Selden, and the other profoundly learned men, who drew this petition of right, were as well acquainted, at least, with all the general theories concerning the “rights of men,” as any of the discoursers, or on your tribune; full as well as Dr. Price, or as the Abbé Seyes.

 But, for reasons worthy of that practical wisdom which superseded their theoretic sciences, they preferred this positive, recorded, hereditary title to all which can be dear to the man and the citizen, to that vague speculative right, which exposed their sure inheritance to be scrambled for and torn to pieces by every wild litigious spirit.19

 19) Edmund Burke, Reflections on the revolution in France, Dover publications, Inc, pp.30.(『フランス革命の省察』、みすず書房、42頁に対応)

 権利請願と呼ばれるチャールズ1世治世第3年の高名な法の中で、英国議会は国王に対して「陛下の臣民はこの自由相続してきた」旨奏上しています。

 彼らは自らの諸特権を抽象的な原理に基づく「人間の権利(=人権)として」ではなく、英国民の権利(=国民の権利)として、また英国民の祖先に起源を持つ世襲財産(=世襲の権利)として要求したのです。

 この権利の請願を起草したセルドゥンその他の深い学識ある人々は、「人間の権利」に関する一般理論全般について、少なくとも我々英国の説教壇上や貴方がた(フランス国)の国民議会演壇上での演説者の誰にも負けない位良く知っていました。

 そして、(英国の)プライス博士や(仏国の)シェイエス師と同程度まで十分に知り尽くしていたのです。

 しかし、己の理論上の学識に勝る実際上の智恵を持っていた彼ら(=権利の請願の起草者たち)はその智恵に相応しい理由からして、この(古来の)明確な、記録に留められた、世襲の権利の方を採用し、およそ(一般的な)人間にとっても、(国家に属する)国民にとっても(それを獲得し、保持するのに)高価につき兼ねない権利――自分たちの確実な相続財産を、粗暴で訴訟好きな精神の人たちによる奪い合いの的となり、結局は細々に千切られてしまう危険のある、あの曖昧で思弁的な権利――の方はすべて採用しなかったのです。

 Key words and phrases

 the Petition of Right

 inherited this freedom

 the rights of men

 the rights of Englishmen

 a patrimony derived from their forefathers.

 Dr. Price

 Seyes

 practical wisdom

 their sure inheritance

 ―――――

 The same policy pervades all the laws which have since been made for the preservation of our liberties.

 In the 1st of William and Mary, in the famous statute, called the Declaration of Right, the two houses utter not a syllable of “a right to frame a government for themselves.

 You will see, that their whole care was to secure the religion, laws, and liberties, that had been long possessed, and had been lately endangered.

 “Taking*2 into their most serious consideration the best means for making such an establishment, that their religion, laws, and liberties might not be in danger of being again subverted,” they auspicate all their proceedings, by stating as some of those best means, “in the first place” to do “as their ancestors in like cases have usually done for vindicating their ancient rights and liberties, to declare;”---and then they pray the king and queen, “that it may be declared and enacted, that all and singular the rights and liberties asserted and declared are the true ancient and indubitable rights and liberties of the people of this kingdom.”20

 20) Edmund Burke, Reflections on the revolution in France, Dover publications, Inc, pp.30.(『フランス革命の省察』、みすず書房、4243頁に対応)

 我々英国民の自由を保持すべく爾後制定された法のすべてにも、同じ方針が貫かれています。ウィリアム及びメアリー治世第1年の権利の宣言(=通称Bill of Rights権利の章典」)と呼ばれる名高い制定法においても、(英国議会の)両院は「(過去や未来の世代を無視した、当時の現世代の)英国民自身のために(新たな)政府(=統治体制)を形成する権利」など、一言も発しませんでした。

 以下申しますように、(当時の世代の)英国民のすべての配慮は、(古来)長期に渡り保有されてきたものの、その当時には危機に陥っていた、英国民の宗教と法と自由を確保することに向けられていました。

 即ち(当時の)英国民は、(「権利の章典」の中で)「我々の宗教法および自由が再び転覆の危機に晒されることの無きようそれらを確立するための最善の手段について最も真剣に考慮し」、その最善の手段の一部として「先ず第一に」「我々英国民の祖先が同様の場合に彼らの古来の諸権利と自由とを擁護するために為すのを常とした如く」為し「宣言する」、と述べることから(英国議会での)全ての審議を始めます

 ――そして、その次に、国王(陛下)と女王(陛下)に対して、「主張され宣言されたすべての諸権利自由の一つ一つが、英王国の国民の真正古来かつ疑う余地無き権利と自由である旨を宣言され、かつとして制定されるよう」懇願しているのです。

 Key words and phrases

 all the laws

 for the preservation of our liberties

 statute

 the Declaration of Right

 a right to frame a government for themselves

 secure the religion, laws and liberties

 as their ancestors in like cases have usually done for vindicating their ancient rights and liberties, to declare

 they pray the king and queen

 the true ancient and indubitable rights and liberties of the people of this kingdom

 ―――――

 You will observe, that from Magna Charta to the Declaration of Right, it has been the uniform policy of our constitution to claim and assert our liberties, as an entailed inheritance derived to us from forefathers, and to be transmitted to our posterity; as an estate specially belonging to the people of this kingdom without any reference whatever to any other more general or prior right.

 By this means our constitution preserves a unity in so great a diversity of its parts.

 We have an inheritable crown; an inheritable peerage; and a House of Commons and a people inheriting privileges, franchise, and liberties, from a long line of ancestors.21

 21) Edmund Burke, Reflections on the revolution in France, Dover publications, Inc, pp.31.(『フランス革命の省察』、みすず書房、43頁に対応)

 我々英国民の自由を主張し要求するに当たって、それを、

 (古の)祖先から発して(現在の)我々に至りさらには子孫にまで伝えられるべき限嗣相続財産とすること、

 また、英王国の国民にだけ特別に帰属する財産として、何にせよそれ以外のより一般的な権利(=「人間の権利」すなわち「人権」)や先行の権利(=自然権)などとは決して結びつけないこと

 これこそ、マグナカルタ1215年)に始まって権利の章典1689年)におよぶ英国憲法(国体)の不易の方針であったということが、これで貴方にもご理解いただけることと思います。

 この方法によって、英国憲法国体)はその構成部分の間にかくも多様性がありながら、しかも一つの統一性を保持しているのです。

 我々英国民は相続すべき王位相続すべき貴族を持ち、また、永きに渡る祖先の系譜から諸特権と参政権と自由とを相続した下院と民衆を持っているのです。

 Key words and phrases

 Magna Charta

 the Declaration of Right

 the uniform policy of our constitution

 as an entailed inheritance derived to us from forefathers, and to be transmitted to our posterity; as an estate specially belonging to the people of this kingdom

 any other more general or prior right

 We have an inheritable crown; an inheritable peerage; and a House of Commons and a people inheriting privileges, franchise, and liberties, from a long line of ancestors.

 ―――――

 →“世襲相続の原理”の解説は、

 中川八洋『保守主義の哲学』、

 (クリック→)第三章「保守主義の父」バーク 第二節「世襲(相続)」の哲学

 を参照頂きたい。

 〔=ブログ作成者〕の邦訳版:権利の章典(全文邦訳)リンクはこちら。

 Bill of Rights(1689) 

 →〔=ブログ作成者〕のHome Page Top Pageへのリンクはこちら。

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【平成23820日掲載】

エドマンドバーク保守主義者(神戸発)  


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錬金術師

 
 
 どうも、こんばんは。保守主義に関する新刊が出た様なので報告しておきます。


 http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E8%AA%AD%E3%82%93%E3%81%A7%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%84%E4%BF%9D%E5%AE%88%E3%81%AE%E5%90%8D%E8%91%97-PHP%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%BD%AE-%E5%8C%A1%E4%BA%BA/dp/4569800076/ref=sr_1_2?s=books&ie=UTF8&qid=1313926742&sr=1-2


 著者は「正論」でコラムを連載している潮匡人氏です。この人物も註付き論文や専門書を出した形跡を殆ど確認できないので、どんな内容なのか少し心配ですね。

 それと、前回の投稿でまた誤字がありました(+o+)。申し訳ありません。
by 錬金術師 (2011-08-21 20:54) 

junn

保守派のブログ 

いのししさん(http://blogs.yahoo.co.jp/inosisi650/)、

エドマンド・バーク復活予告さん(http://edmund-burke.iza.ne.jp/blog/)、

真正保守政党を設立するさんhttp://blog.livedoor.jp/shinseihoshu/)、

oyoyoさん(http://oyoyomemo.blog7.fc2.com/)、

dandyさん(http://dandyroads2.blog95.fc2.com/)、のブログを1つの無料メールマガジンにして配信してほしいです。
by junn (2011-08-23 07:03) 

shinesihoshu

>錬金術師殿、バーク保守主義者殿

オノコロにも紹介頂き、殿潮匡人氏の「日本人として読んでおきたい保守の名著 」を読んでみました。
これが思いの他の内容でした。

潮氏は若干、文章能力に弱さがあり、表現も柔らかい為か、「弱さ」や「薄さ」は否めませんが、氏が「真正の保守哲学」の周辺には居る事は解ります。
後は、様々な人間関係、社会関係を気にせず「哲学」に殉ずれるかのところでしょう。

左翼亜型でしかない民族派の国家社会主義路線や、妄想という意味では左翼思想と同一線上にある国粋主義といった「似非保守思想」では、到底「真正左翼思想」に対峙することは叶いません。

少なくとも「真正の保守(自由)主義哲学」だけが最後の頼みであることを確信できる良本であると思います。
by shinesihoshu (2011-08-23 22:49) 

shinesihoshu

>バーク保守主義者殿

連投申し訳在りません。
上のコメントでオノコロ「殿」敬称が抜けていることをお詫び致します。

先ほどツイッターで知ったのですが、民主党は2006年12月に「政権政策の基本方針」なるものを作っていたようです。
しかもこれをよりによって「マグナカルタ」と呼称しているようです。
http://www.dpj.or.jp/news/files/seiken061218.pdf

内容は何時もの如く凄まじいものです。
ここの内容を「マグナカルタ」とは、この民主党という無頼集団は、どこまで精神が腐敗しているのでしょうか。
腹に据えかねます。
by shinesihoshu (2011-08-24 00:04) 

BURKE_REVIVAL_IN_JAPAN

 盟友
shinesihoshu 殿

 貴重なご意見ありがとうございます。

 私は、潮匡人氏の「日本人として読んでおきたい保守の名著 」をまだ読んでおりませんが、おそらく“真正保守(自由)主義哲学”に近づけるか否かは、“親英米”特に“親米”であるか否かが判断基準の一つであると思います。

 要するに“法”、“自由”、“正義”、“国家の名誉”などの価値を共有できるか否かにあるということでしょう。
 
 上記の著作については、近々私も読みたいと思っているところです。

 次に、「政権政策の基本方針なるもの」について、マグナ・カルタと呼称しているということですが、自らの「無色の第二共産党」とも言える政策群をマグナ・カルタ(自由の大憲章)と述べるとは、形容矛盾甚だしい無知と虚言の狂気であり、ある意味では、愚鈍かつ無責任極まる「民主党らしい」と言えるのかもしれません。

 が、民主党は、その「政権政策の基本方針なるもの」を正直に「マニフェスト オブ マルキシズム(またはコミュニズム)」と命名し直すべきでしょう。

 このような無茶苦茶な政党は、党内の選挙で「党代表」を入れ替えたところで、上記の本質が変わるわけではなく、実際の政治上、ほとんど意味がありません。

 そのことは、一般常識として現時点で行う政党の「党首(代表)選」で“最も必要勝つ重要なもの”が、民主党の代表選では「完全欠落」している点で明白でしょう。
by BURKE_REVIVAL_IN_JAPAN (2011-08-24 07:45) 

BURKE_REVIVAL_IN_JAPAN


 コメントを訂正します。
 
 “最も必要勝つ重要なもの”

 →“最も必要かつ重要なもの(こと)”
by BURKE_REVIVAL_IN_JAPAN (2011-08-24 21:21) 

うまやど

※バーク殿、上のコメントは誤字があるので消去お願いいたします。

>いのししさん(http://blogs.yahoo.co.jp/inosisi650/)、

南出先生一派は、微妙ですねぇ。
あの一派は、頭だけで考える、言葉だけで考えるきらいがありまして。

バーク保守というのは、まず「ミチ」があって、それを何とか言葉・論理で表して、屁理屈に対抗するというスキームなんですよ。「ミチ」と表現しようが「法」と表現しようがいいのですけれど。

この感覚がわからないと、言葉ごっこになってしまいます。

例えて言うなら、「茶の湯」というものを、どう表現するかというなことでして、実験しようが、ティーセレモニーと比較しようが、茶の湯原理を提唱しようがなんでもいいけれど、「茶の湯」のこころが分かってなければ、どんな論理もムダどころか有害というような。

そして、実験だろうか、比較だろうが、茶の湯原理だろうが、すべて「ミチ」に接近する補助線のようなものにすぎず、「ミチ」そのものではない。ところが、ダークサイドに落ちる人たち(南出先生がそうというわけではないけれど)は、仮初の実験だとか、比較だとか、茶の湯原理が「本体」だと思い込んじゃうんですよ。
by うまやど (2011-08-25 12:51) 

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