保守主義の哲学---科学的真理はデモクラシーの「多数決の原理」で決定できるのか? [政治]
【新聞記事】
小泉元首相の「原発即ゼロ」に支持57% 自民支持層の評価は分かれる 産経・FNN世論調査(産経新聞2013.11.18 17:29)
◆◆◆◆◆
産経新聞社とFNNの合同世論調査では、小泉純一郎元首相が「原発即時ゼロ」を繰り返し主張していることを「支持する」と回答した人が57・0%に上り、「支持しない」(35・1%)を上回った。
支持政党別でみると、公明党支持層では「不支持」が48・6%で、「支持」の42・9%より多かったが、他の政党の支持層はいずれも「支持」が上回った。特に共産党と生活の党、みんなの党の支持層は「支持」が8割を超した。自民党支持層でも、わずかながら支持(46・6%)が、不支持(45・4%)を上回り、自民党の原発政策と小泉氏の主張のギャップに戸惑っている様子がうかがえる。
ただ、小泉氏の「原発ゼロ」発言をめぐっては、78・4%が「実現のための具体的な方策を示すべきだ」と回答。原発ゼロを支持する人の80・0%も「具体的な方策」を求めた。国民の多くは、原発に代わる代替エネルギーの具体的な展望が描けないままでは、なかなか「原発即時ゼロ」は現実味をもたないようだ。
◆◆◆◆◆
この調査の結論は「原発即ゼロ不支持」35.1%+「原発即ゼロ支持」57.0%×0.8=80.7%の人々が、「国力を凋落させないような代替エネルギー案を見いだせない限り、原発即ゼロには賛成できない」と読むべきではないか?
上記の人々に対して、私〔=ブログ作成者〕から少々疑問を投げかけたい。
① なぜ、上記の人々は医療検診の「CTスキャン」や「PET」の受診程度の放射線被爆程度の福島第一原発事故で「原発が危険!」と断定する(思い込む)のか?
放射線被ばくによる「死者もゼロ」であったのが事実である。
※なお、「死者ゼロ(の現実)」と言うとすぐ大批判がおこるが、「死者ゼロをもって、原発が危険である!帰宅するな!」などのデタラメをいう方が、福島県民に過大な精神的ストレスを課す行為であり、よほど強く批判されるべきであろう。
下記の『Fukushima and Chernobyl:Myth versus Reality(YouTube英語)』も参照されよ。
② また、世界各国は逆にこの“福島第一原発の教訓(=未曽有の巨大地震に耐えた、他の多くの原発の安全性)”を踏まえて「脱原発の減速」「原発推進」に舵を切り出している。
具体的に言えば、世界各国とは英国、ベルギー、フランス(減速)、米国、中共/ブラジルなど新興国(サンクトぺテルブルグ宣言)、
ウクライナ(チェルノブイリ事故後の原発全停止→連番停電・数時間・数日停電茶飯事・工場生産ストップ・家庭では蝋燭明かり・国内経済ガタガタ→1993年原発建設凍結の撤回→現在15基、2基建設計画)、
ハンガリー、ベトナム、ルーマニア、スロバキア、ブルガリア、チェコ、トルコ、ヨルダン、イスラエル、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、ロシア…などである。
特に、チェルノブイリ原発事故を経験したウクライナの教訓は参考にすべき点が多いだろう。
その詳細は、2012年5月の『Will』奈良林直 北海道大学大学院教授「25年後の日本は今日のウクライナ」などに詳しいので参照のこと。
さらに福島第一原発は、P波地震動を捉えて制御棒が炉心に挿入され、原子炉は(正常に)緊急停止した。
また、商用電源の喪失に伴い非常用電源が起動、電源が供給され冷却が始まった(正常に動作)したが、その後10mを超える大津波に襲われ、海岸側の「非常用電源システム」が壊滅し、電源が途絶え、冷却機能が失われたことが事故の主因、すなわち、海水侵入という非常時のリスク設計(バックアップ用付帯設備設計)の軽視が主因であったのであり、事実、海抜14.8mに設置された女川原発は無事であり、住民の避難所として活用されたのである。
④ また、福島第一では厚さ2mのコンクリートの格納容器の底を内側から60cm程度溶かしただけであり「メルトダウン」は起っていない。
この点で、格納容器のない黒鉛炉のチェルノブイリの「メルトダウン」とは全く異質の事象(事件)であるため、これらを同値・同等などと誤解してはならない。
これらは福島第一原発の「真実」のほんの一部であるが、これらをもって、どうして「原発は危険である!」、「福島第一原発は最悪の原子力災害であった!」、「原発推進より脱原発の方が、まず前提だ!」などと思考するのであろうか?
そういった<思考の先入見・偏見>の妥当性を科学的に検証せずに「即脱原発論」などを信じきり、それを既成事実として今後の日本国のエネルギー政策から何がなんでも原発を排除しようとするのは、無知と怠惰の産物にすぎない。
現在、日本国民が「代替案なしの脱原発論」に愚かにも問答無用に即賛同してしまう根本原因は、福島第一原発事故を科学的知見によって総括せず、嘘宣伝と大衆煽動に終始してきたマスコミの報道姿勢とその御用学者らの悪書の拡散によるところが大きい。
このことについては、世界原子力協会(WNA)制作の動画、『福島とチェルノブイリ(→Fukushima and Chernobyl:Myth versus Reality)』の中でも、「原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の事務局長らによって語られている事実である。
この報告では、原発事故による健康影響は「マスコミが引き起こす生活破壊と心的外傷」や「原因は“ウソ”を流すマスコミと学者にある」と批判している。
⑤ さて最後に、私〔=ブログ作成者〕は上記のような知的怠慢・真実を語る責任の放棄を恥じないマスメディアの姿勢や、その情報を鵜呑みにして自分の努力で真実を探究しようとしない人々に苦言を提しておきたい。
果たして、「科学的真実」とは、過去の経験に基づく知見
(例えば放射線障害では広島・長崎の原爆被害の追跡調査のデータ群、チェルノブイリ原発事故の調査・研究データに基づく知見・福島第一原発の放射線被曝に関して解明されつつある知見など)
を無視して単純な「デモクラシーによる多数決の原理(数の力)」で決定しうるものであろうか?と。
そして、答えは「No」であることは言うまでもあるまい。
このような視点から、原発(エネルギー)問題は、再度慎重に考え直してみる必要があるのではないだろうか?
特に、安倍内閣や自民党は、一時的な流行や冷静さを失った感情的世論に流される政治は現につつしんで頂きたいと願うものである。
※ 以上の内容については、(長浜浩明『「脱原発を論破する』、東京図書出版」)から、一部引用させて頂いたことを申し添えます。)
(追記)ブログで紹介した途端、『Fukushima and Chernobyl:Myth versus Reality(YouTube英語)』の動画が見れなくなっているようである。
が、心配ご無用。近いうちに私は動画に日本語字幕付きで掲載できる準備を整えている。
また、左翼・極左マスメディアとその御用学者の虚偽と騙しの数々は、その虚構の仕組みを解説し、報道機関・御用学者名を実名をあげて、本ブログで紹介していく所存である。
平成25年11月19日(火)
兵庫県神戸市にて記す。
エドマンド・バークを信奉する保守主義者。