保守主義Series-9(2)--- E・Burke『フランス革命の省察』に学ぶ;E・コーク卿の古来の法の再確認(2) [政治]

 保守主義Series-9(1)--- EBurke『フランス革命の省察』に学ぶ;E・コーク卿の古来の法の再確認(1)の続き。

 〔=ブログ作成者の最近の雑感

 エドマンド・バークの『フランス革命の省察』を邦訳している関係上、過去数日間に渡る「英国暴動」について少々触れておきたいと思う。

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 【産経新聞】

 英国暴動の背景に「不良グループ文化」? 略奪や破壊に便乗 警官も傍観

 2011.8.12 17:42 1/3ページ)

 英国の暴動の原因が政府の緊縮財政政策にあると考えている英国民はわずか8%。

 8月11日発表された英国民への世論調査結果で、国内の不良グループ文化が騒動に便乗したことが背景にあることが明らかになった。

 フランス通信(AFP)が伝えた。

 調査は英大衆紙サンと世論調査会社ユーガブが8~9日に2534人を対象に実施。失業問題が主な原因との回答や、人種間の対立が背景にあるとの回答もそれぞれ5%程度にとどまった。

 一方、42%が犯罪行為の蔓延(まんえん)、26%が不良グループの台頭を理由に挙げた。

 (中 略)

 2011.8.12 17:422/3ページ)

 ニック・クレッグ副首相は「(暴動2日目の)7日夜(以降)の暴動は、この機に便乗した人々による盗みと暴力以外の何物でもなく、射殺事件とは全く関係ない」と強く批判した。

 ■11歳の白人少年も

 暴動による逮捕者は、人種差別や経済格差への不満から黒人住民が中心だったが、便乗犯も多く、11歳の白人少年や裕福な家庭出身の少女もいる。

 AFPによると、レストランの料理人(43)とその兄(47)、オペラハウスの新任の守衛(19)、大学生(20)らが逮捕されたことが英社会に驚きをもって受け止められている。

 英紙ガーディアンは「誰が暴動を起こしているのかという問いに簡単な答えはない」と指摘。

 参加者の多くは貧困層の出身だが、属する人種グループは多様で、年齢層も10代~40代と幅広く、女性も加わっていたと伝えた。

 英紙フィナンシャル・タイムズは、暴徒が「警察に敵意を抱く社会で育ち、疎外され、さまざまな社会的権利を剥奪(はくだつ)された若年層の住民」とする専門家の解説を報じた。

 ■威信回復が急務

 また、警察が暴動を取り締まることができないことが便乗犯の横暴を許したとの批判が広がっている。

 2011.8.12 17:42 3/3ページ)

 ロンドンでは、8日夜に暴動が急拡大し警察官が圧倒的に不足。東部ウールウィッチ地区で、放火された建物の消火作業を見守る警察官数人の目前で略奪が横行。南部クラップハム地区でも警察官の前で略奪が行われた。

 キャメロン首相は10日、「われわれは反撃しなければならない」と述べ、暴動鎮圧に向けた強い決意を表明。

 警察に暴徒鎮圧用のプラスチック弾使用や放水車の投入を認める方針を表明した。警察はこれまでの暴動で防犯カメラに写っていた容疑者の写真を公開するなど、厳しい姿勢を見せている。

 だが、ロンドン警視庁はスキャンダルの渦中にある。

 廃刊した大衆日曜紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」による盗聴事件で同紙側との癒着を問われ、警視総監ら首脳が相次ぎ辞任。士気の低下も指摘され、来年の五輪に向けて警察の威信回復が急務だ。

 ―――――

 Britain Debates Riots and Fears They Set a PatternThe New York Times, published: August 10, 2011)より一部抜粋。

 一連の暴動およびそれらがある種のパターン化する恐れについての英国の議会討論

 (Page 1 of 2)

 (省 略)

 Mr. Cameron, speaking of the inner-city gangs that the police say have played a leading role in the riots, said, “They are in no way representative of the vast majority of young people in our country who despise them, frankly, just as much as the rest of us do.”

 警察が言うところのinner-city gangs(都市貧困地区内ギャング)が暴動を煽動する役割を果たしたということについては、キャメロン(首相)は、次のように述べました。

 「率直に述べれば、彼ら(暴動を煽動した者)は、英国の(暴動を起こさなかった)残りの大多数の若者たち(の意思)を決して代表するものではありません。」

 He cited an episode relayed worldwide on YouTube in which a young Malaysian student, the bloodied victim of an attack, sat slumped on a sidewalk when he was approached by hooded young men, seemingly intent on helping him, who pulled him to his feet.

 首相は、YouTube上で世界中に中継されたエピソードを引用して言いました。

 襲撃によって出血した被害者である、一人の若いマレーシア人の学生は、フードを深くかぶった若者たちが表面上、彼を助けるかのように言って彼に近付いてきたのに、彼はそのフードの若者たちに足をすくわれ、歩道の上にドスンと尻餅をついたというエピソードでした。

 They then looted the man’s backpack, with one man pulling something out, unwrapping it, then casually discarding it onto the street.

 The victim, who had a fractured jaw, underwent surgery in a London hospital on Wednesday, according to friends.

 その時に、フードの若者たちはその学生のバックパックを奪い取り、一人の男が中から何か物を引っ張り出し、その包装を破いてから悪気もなくそれを道路に捨てたのです。

 その被害者の友人たちによれば、あごの骨を骨折したその被害者の学生は、水曜日にロンドン病院で外科手術を受けたそうです。

 “There are pockets of our society that are not just broken but, frankly, sick,” Mr. Cameron said.

 「そこに、我々の英国社会の単に壊れたというのではなく、率直に言えば、病んだ落とし穴があるのです。」とキャメロン首相は述べました。

 “When we see children as young as 12 and 13 looting and laughing, when we see the disgusting sight of an injured young man with people pretending to help him while they are robbing him, it is clear there are things that are badly wrong in our society.

 「我々英国民は、(他人から)略奪して笑っている1213歳くらいの子供たちを見るとき、あるいは一人の若者が助ける振りをして近付いてきた人々に負傷させられて、強奪されているという苛立つ光景を見るとき、我々の英国社会にひどく悪徳なものが存在するは明白でしょう。

 (Page 2 of 2)

 “The sight of those young people running down streets, smashing windows, taking property, looting, laughing as they go, the problem of that is a complete lack of responsibility, a lack of proper parenting, a lack of proper upbringing, a lack of proper ethics, a lack of proper morals,” he continued.

 趣くままに、通りを走り下り、窓ガラスを粉砕し、(他人の)所有物(=持ち物)を取り上げ、略奪して、笑っているこれらの若者たちの光景は、責任性の完全なる欠如、適切な育児の欠如、適切な子供の教育の欠如、適切な倫理の不足、適切な道徳の欠如の問題なのです」と首相は続けて述べました。

  “That is what we need to change.

 「それは、我々英国民が変えねばならない問題なのです。

  There is no one trigger that can change these things.

  It’s about parenting, it’s about discipline in schools, it’s about making sure we have a welfare system that does not reward idleness.

  It is all of those things.”

 「このような事態を変えることができる誘因は一つではありません。

 誘因は、育児についてであり、学校教育についてであり、怠惰(=勤労・勤勉の意欲の無い者)に対して報酬を与えないような福祉制度を英国が持つようにすることについてであります。

 これらの事柄のすべてが誘因なのです」

 (以下省略)

 ※ 邦訳は〔=ブログ作成者〕が行なった。

 →〔=ブログ作成者〕の解説

 今回の【産経新聞】の記事

 (→産経新聞の英国暴動発生初期の記事「ニートの若者暴徒化 過当競争・景気低迷…根深い病巣2011.8.9 21:17 」は問題の本質を経済問題に矮小化しているので別扱い。※ただし〔=ブログ作成者〕は産経新聞社支持している者であって、その記事内容毎賛否両論を展開しているだけです。

 から解るように、今般問題となっている英国暴動の原因について、英仏などの世論は、「緊縮財政8%」、「失業問題5%」、「犯罪行為の蔓延42%」、「不良グループの台頭26%」であり、経済・財政問題が主原因ではないとの判断を明確に示している。

 逆に、世論で問題視されているのは、「犯罪の蔓延不良グループの蔓延」など英国社会の抱えるモラルハザードという直接的原因であることが明白となった。

 〔=ブログ作成者〕はこのことについて、盟友ブログ「真正保守政党設立」のコメント欄811日付で「この暴動の本質は経済問題、貧困・格差問題ではない」と日本国の新聞記事の誤謬について警告文を記載させて頂いている。

 日本のマスコミは、外国で暴動が起こると、条件反射的に「経済問題」、「財政問題」、それらに関連した「貧困問題と失業問題」や「格差問題」に特化して“自由主義経済”や“自由主義”に責任を歪曲化させる傾向が非常に強い。

 この度の問題の本質は、英米の新聞社の論調を読めば、当初から上記の英仏の世論調査の結果の如く明白であったのに、正しく報道しなかった

 自由主義経済体制の下で、国際経済・国内財政状況が悪化すれば、フェビアン社会主義教義のごとく、

 「それはあなたの責任ではない。それは社会の罪なのです

 という無責任の極みを信条とし、法を犯して暴動をおこし、キャメロン英国首相保守党)が前記の演説内で述べている、

 「為す(行く)がままに、通りを走り下り、窓ガラスを粉砕し、(他人の)所有物(=持ち物)を取り上げ、略奪し、笑っている若者たち」

 の行為をを日本国のマスコミは正しい行為であるとでも言いたいのであろうか?

 立憲主義自由主義国家でそのような行為が許されるわけがないのは、小学生でもわかる「常識中の常識」であろう。

 また、自由主義社会では貧困な境遇に生まれても努力夢の実現意欲偶然の幸運生きる原動力となるため、貧困層出身者偉大な人物となるケースきわめて多い

 そのこと自体が、自由主義社会自由主義経済本質であって、このこと自体を「貧困不平等原因である」として悪視するのは明確な間違いである。

 逆に、社会主義あるいは共産主義体制下にあった、共産ロシア東欧中共支那)、北朝鮮カンボジアポルポト)の歴史を振り返って見よ。

 「貧困問題」、「格差問題」および「人民の法の下の平等」に関しては、資本主義自由主義国家より極端に劣悪で、「餓死」や「ジェノサイド」で死亡した人民の数は恐るべき多さであり、これらの国の憐れな「人民」らは、“生命生存”の“法の下の平等”さえ奪われてしまったのではなかったか?

 自由主義経済政策を「悪の根源」とみなし、前記のフェビアン主義マルクスプロレタリアートによる暴力革命主義そのものを「正しい」とみなすのは、「非常識」と「狂気」の産物でしかない。

 「平和ボケ」ならぬ「自由ボケ」、自分が自由であり得る理由さっぱり解らずに生きている自由主義国家ボケ」の暗愚である。

 日本国のマスコミは、このような思想に汚染された主観的論調が多すぎ、海外の、特に英米欧州自由主義国家のそれと乖離することが多い。

 マスコミならば、自らの報道の“真実性客観性”にもっとProfessionalとしてのPrideを持ち、誤報道に対するShameに対しては挽回すべき志を持つべきであろう。

 なお、今回の英国暴動に関する、英国保守党キャメロン首相の上記に掲げた演説は、日本国の現状に対しても極めて重要で、示唆に富むため、The New York Times, published: August 10, 2011)から一部抜粋しておいた次第である。

 最後に、読者の皆様エドマンドバークの『フランス革命の省察』の邦訳シリーズより良く理解して頂くために「権利の章典1689」を引用する場面が多くなる思われたため、前回のブログにおいて、〔=ブログ作成者〕はBill of Rights (1689) を全文邦訳しておいた。

 これまで、インターネット上にBill of Rights 1689まともな邦訳版は(〔=ブログ作成者〕が調べた限りでは)一本も無かったため、〔=ブログ作成者〕が邦訳し、ホームページ「バーク・リバイバル」に掲載した。

 参考までに、再度リンクを貼っておくので、必要に応じて参照頂きたい。

 権利の章典(全文邦訳)リンク→Bill of Rights(1689), 正式名称;An Act Declaring the Rights and Liberties of the Subject and Settling the Succession of the Crown.

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【平成23814日掲載】

エドマンドバーク保守主義者(神戸発)  


保守主義Series-9(1)--- E・Burke『フランス革命の省察』に学ぶ;E・コーク卿の古来の法の再確認(1) [政治]

 読者の皆様には、いつも〔=ブログ作成者〕の稚拙な小論をお読み頂き、深く御礼申し上げます。

 さて、今回Series 9は、エドマンドバークフランス革命の省察』の中から、“Eコーク卿の古来の法の再確認(1)”について、バークの主張を拾い上げた。

 傲慢かつ無能に加え、日本国民を騙して政府官邸居座り続けてきた菅直人首相が日本国民の約70%からの不支持・嫌悪感に屈してようやくにして8月中の退陣(?)の意向を示した。

 しかしながら、革命市民たる菅直人鳩山由紀夫民主党幹部その他日本人拉致問題容疑者(つまり北朝鮮)と親密な関係にある「市民の党」(酒井剛代表)から派生した「政権交代を目指す会」に巨額の献金を行なっていた事実などは、問題の本質が管直人首相自身にあるのではなく、「民主党」の、「無色の共産党」と思えるほどの社会主義思想それ自体にあることは、もはや疑う余地はない

 彼ら社会主義政党は、

 「理想の(地球市民」や「市民革命なるユートピア」あるいは

 共産主義国家北朝鮮」による日本人拉致被害者および家族会の方々の「人権を高らかに、さも社会的正義のごとく叫ぶが、

 自らの行動は、その主張とは真逆で、「祖国日本廃滅」、「日本国民への憎悪」、

 「虚構人権論による死刑制度廃止論絶叫」、

 「マルクス主義から発する、幸せな家族への憎悪破壊衝動からくる夫婦親子別姓推進」、

 「マルクス階級闘争思想性差への適用であり、男性らしさ女性らしさ憎悪性差相対化する悪魔ジェンダーフリー思想教育化」、

 「周辺国大量核兵器保有原発大推進を一切無視し、閉口し確固たる代替エネルギー案も示せない、矛盾に満ちた反核反原発運動」、

 「『共産党宣言』、『共産主義の諸原理』等に堂々と掲げられた私的所有廃止目的資本主義打倒目的)とした、強度累進課税重い相続税強制公債発行(=国債無限発行)などによる当面私的所有制限政策、さらには家族の廃止共産主義思想教育のための社会施設での子育て、・・・などの政策遂行」、

 ・・・等々(枚挙に遑がない!)などを平然政策として掲げながら、それらの政策が必然的に導くであろう「悲惨結果結末」については何の責任感罪悪感持っていない

 これが、社会主義者共産主義者思想および人間性本質であり、すなわち、そのような思想宗教的狂信者集団たる政党本質である。

 このことは、歴史上の社会主義国家共産主義国家で起こった事実を振り返れば明白であるし、日本国での民主党政権発足以来の政策遂行態度内容を振り返れば明々白々である。

 このような悪徳思想を、日本国から徹底的かつ早急排除し、棄却し、消滅に追い込まなければ、その思想跋扈限界に達したとき、日本国自由悠久の繁栄吹き消されてしまうであろう。

 我々日本国民祖国たる日本国は、ルソーマルクスエンゲルスウェッブ夫妻フェビアン協会空想的理論で建国された国家ではない

 ゆえに、社会主義共産主義思想唯一無比解毒薬である保守主義の父エドマンドバークの『フランス革命の省察』における最強保守哲学日本国民拡散し、徹底周知しておくことが徐々に民主党社民党共産党その他の社会主義政党などに破壊的打撃与えていくであろうことを〔=ブログ作成者〕は確信して、エドマンドバークの『フランス革命の省察』を真正保守自由主義の立場から正しく邦訳しなおして、逐次ブログに掲載し、日本国中復活させる所存である。

 読者の皆さまにおかれましては、我々祖国日本社会主義汚染から“道徳ある自由主義”・“確固たる立憲君主制議会制デモクラシー”の真正日本国の姿へと救出奪還回復するため、“バーク保守哲学”、“真正保守自由主義哲学”の日本国全土への大拡散ご協力願いたい次第である。

 なお、邦訳文は、半澤孝麿訳(『フランス革命の省察』、みすず書房)を基礎として、細部について、前後段落等のバークの論旨忠実に従って、〔=ブログ作成者〕が補足更訂して理解しやすく改善したものである。

 邦訳文中の( )内は〔=ブログ作成者〕が補足説明した。

 ―――――

 Our oldest reformation is that of Magna Charta.

  You will see that Sir Edward Coke, that great oracle of our law, and indeed all the great men who follow him, to Blackstone,*2 are industrious to prove the pedigree of our liberties.

 They endeavour to prove, that the ancient charter, the Magna Charta of King John, was connected with another positive charter from Henry I. and that both the one and the other were nothing more than a re-affirmance of the still more ancient standing law of the kingdom .

 In the matter of fact, for the greater part, these authors appear to be in the right; perhaps not always; but if the lawyers mistake in some particulars, it proves my position still the more strongly; because it demonstrates the powerful prepossession towards antiquity, with which the minds of all our lawyers and legislators, and of all the people whom they wish to influence, have been always filled; and the stationary policy of thus kingdom in considering their most sacred rights and franchises as an inheritance. 17)

 17) Edmund Burke, Reflections on the revolution in France, Dover publications, Inc, pp.29-30.(『フランス革命の省察』、みすず書房、4142頁に対応)

 *2) See Blackstone’s Magna Charta, printed at Oxford, 1795.

 ―――

 英国最古の改革は、マグナカルタ(=大憲章、1215年)と言われる改革です。

 かの偉大な英国法の告知者エドワードコーク卿、及びブラックストーンに至るまで、コーク卿(の法思想)に従う、実にすべての偉大な人々が、熱心に英国民の自由の系譜の証明に勤めているということは貴方にもお判りいただけることでしょう。

 彼らは、――ジョン国王のマグナ・カルタと言われる古来の憲章は、もう一つの、ヘンリー一世以来、実際に存在した憲章と繋がっており、しかもその両憲章のいずれもが、それより更に古い、英王国に不変の法の再確認にすぎないものだ――という真実を示そうと努力しているのです。

 そしてこれら(自由の系譜の)著述家たちは、必ずしも常にとは言えないまでも、大部分において正しいと思われます。

 しかし、たとえこの法曹家たちがいくつかの細かな点において誤っているとしても、その誤りこそが、私の立場をなお一層強く(正しいと)証明してくれるのです。

 というのもそれは、――すべての法曹家や立法者(=立法府議員)や、彼らが感化を及ぼそうと欲したすべての英国民の精神を常に満たしてきた昔日(=古き、不変な法)に対する強い愛着――や、――彼らの極めて神聖な権利や特権を(祖先からの)相続財産であるとみなす、この英王国の不変の方針――を証明しているからです。

 *2) ブラックストーンの『マグナ・カルタ』、オックスフォード版、1759年を参照せよ。

 Key words and phrases

 Magna Charta

 You will see that Sir Edward Coke, that great oracle of our law, and indeed all the great men who follow him, to Blackstone,*2 are industrious to prove the pedigree of our liberties. 

 was connected with another positive charter

 a re-affirmance of the still more ancient standing law of the kingdom

 the powerful prepossession towards antiquity

 policy of thus kingdom in considering their most sacred rights and franchises as an inheritance.

 ―――――

 →〔=ブログ作成者〕の解説

 最後の文章における、

 「というのもそれは、――すべての法曹家や立法者(=立法府議員)や、彼らが感化を及ぼそうと欲したすべての英国民の精神を常に満たしてきた昔日(=古き、不変な法)に対する強い愛着――や、――彼らの極めて神聖な権利や特権を(祖先からの)相続財産であるとみなす、この英王国の不変の方針――を証明しているからです。」

 の意味について若干説明を加えておく。

 →コークらの法思想大部分においては“正しい”が、ある特定の点については“間違っている場合もあるとは、“”とは“古来の法”の中から“再確認再発見するものであるとするコーク卿ら保守思想とその実作業継承過程において、当然、特定の点で間違える場合もあり得るのだ、ということを意味する。

 そして、エドマンドバークは、そういった「部分的には誤りもある」という事実こそが

 ――英王国および英国民の“古来の法”が、フランスにおけるデカルトの「合理主義」、ルソー革命フランスジャコバン党などの「理神論」、ヴォルテールの「無神論」、エルヴェシウスの「唯物論」などの唱える「人間完全理性による立法(=命令法)」とは全くの異質のものであるということの――

 証明であるとし、“英国法の下にある“英国民権利特権”を祖先からの“相続財産”とみなす英王国の“不変の方針”に強く支持を表明しているのである。

 ―――――

 →(『フランス革命の省察』の前記との関連部分の一部抜粋)

 Four hundred years gone over us; but I believe we are not materially changed since that the period.

 Thanks to our sullen resistance to innovation, thanks to the cold sluggishness of our national character, we still bear the stamp of our forefathers.

 We have not(as I conceive) lost the generosity and dignity of thinking of the fourteenth century; nor as yet have we subtilized ourselves into savages.

 We are not the converts of Rousseau; we are not the disciples of Voltaire; Helvetius has made no progress amongst us.

 Atheists are not our preachers; and madmen are not our lawgivers.

 We know that we have made no discoveries; and we think that no discoveries are to be made, in morality; nor many in the great principles of government, nor in the ideas of liberty, which were understood long before we were born, altogether as well as they will be after the grave has heaped its mould upon our presumption, and the silent tomb shall have imposed its law on our pert loquacity.18)

 18) Edmund Burke, Reflections on the revolution in France, Dover publications, Inc, pp.84-85.(『フランス革命の省察』、みすず書房、109頁に対応)

 ―――――

 その後400年の歳月が流れました。しかし、以来英国民は実質的に変わっていないと私は信じます。

 革命に対する英国民の頑固な抵抗のおかげで、また、英国民の国民性の冷静な鈍重さのおかげで、英国民は依然として祖先の特徴を持っているのです。

 英国民は、〔私の考えでは〕14世紀の思想の持っていた高貴と尊厳を失ってはいません。

 そして今までのところ、英国民は(フランス革命の教義に倣って)自ら(の精神)を洗練して、野蛮人化していません。我々英国民は(理神論の)ルソーへの改宗者ではありません。

 英国民は(無神論の)ヴォルテールの門弟でもありません。

 エルヴェシウス(の唯物論)は英国民の間では少しも浸透しませんでした。

 無神論者は(プロテスタントである)英国民の説教師ではありませんし、狂人が英国の立法者なのでもありません。

 我々(現在の)英国民は、――道徳性についても、統治の偉大な原理の多くについても、自由の観念についても――自分たち自身が(それらの原理や観念については)何も発見していないし、新発見などありえないと考えています。

 つまり、そうした原理や観念は、(現在の)英国民が生まれる遥か以前に理解されていましたし、(現在の)英国民の(革命協会の紳士諸君のごとき)高慢さの上に墓土が盛られ、墓石が(革命協会の紳士諸君のごとき)生意気な冗舌に沈黙の掟を課した後も、それらは何時に変わらず同じで在り続けるだろうと考えているのです。

 Key words and phrases

 the generosity and dignity

 nor as yet have we subtilized ourselves into savages.

 Rousseau

 Voltaire

 Helvetius

 Atheists

 morality

 principles of government

 ideas of liberty

 保守主義Series-9(2)--- EBurke『フランス革命の省察』に学ぶ;E・コーク卿の古来の法の再確認(2)へ続く

【平成23814日掲載】

エドマンドバーク保守主義者(神戸発)  


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