保守主義の哲学---政策討論(論争)たったの「2日」、国家・国民の品性を喪失した腐敗政党「民主党」 [政治]

 読者の皆さまには、いつも〔=ブログ作成者〕の稚拙な小論をお読み頂き、深く御礼申し上げます。

 さて、今回は、827日告示、829日投開票(???)の民主党代表選について一言コメントしておきたい。

 ―――【産経新聞】(2011.8.27 12:01)ここから―――

 5氏乱立 短期決戦スタート 「有権者」は398

 菅直人首相の後継を決める民主党代表選は27日、告示された。前原誠司前外相(49)、馬淵澄夫前国土交通相(51)、海江田万里経済産業相(62)、野田佳彦財務相(54)、鹿野道彦農水相(69)の5人が立候補を届け出た。29日の投開票に向けた短期決戦がスタートした。

 党内最大勢力を率いる小沢一郎元代表の支持を得た海江田氏と、これまで菅政権を支えてきた「脱小沢路線党内主流派を支持基盤とする前原氏との対決を軸に、多数派工作本格化する。海江田、前原両氏は1回目の投票で過半数獲得を目指すが、候補者5人の乱立で、上位2人による決選投票になだれ込む可能性もある。

 各候補はこの日午前から、それぞれ都内のホテルなどに設置した選対本部に入り、電話などで支持を訴えた。午後には、日本記者クラブで行われる共同記者会見に出席。東日本大震災復興策やそれに伴う増税原発政策衆院選マニフェスト政権公約)の修正小沢氏の党員資格停止処分見直しなどを争点議論を戦わせる予定だ。

 前原氏は27日午前、選対本部のある都内のホテルで「震災復興原発対策経済成長日本を元気にすること訴え正々堂々と戦っていく」と強調した。

 馬淵氏は出陣式で「代表選開かれた政策議論の場であることを伝えたい。この国の再生のために、命をかけて戦うことを誓う」と決意を新たにした。

 海江田氏は記者団に「正々堂々と代表選を戦い抜きたい。日本の抱える課題にしっかり取り組む」と意気込みを語った。小沢氏も選対本部を訪れ激励した。

 野田氏は記者団に「いいスタートが切れるようにがんばっていきたい。同志と心合わせをして誠心誠意、心からのお願いをさせていただく」述べた。

 鹿野氏は都内の事務所での出陣式で「困難な日本の国が次の時代に向けて光を見いだすために、あらゆる努力をしていきたい」と訴えた。

 新代表は党所属衆参国会議員だけ投票選出される。現在、衆院301人、参院106人の計407人だが、小沢氏ら党員資格停止中の議員9人は投票資格がないため有権者は398人となる。過半数は200票。

 ―――【産経新聞】(2011.8.27 12:01)ここまで―――

 〔=ブログ作成者〕のコメント:

 〔=ブログ作成者〕はこれまで、反日極左民主党の政策を批判し続けてきた。

 しかし、この度の民主党代表選挙は、これまでの民主党政治の腐敗堕落および政党政治以前の問題として人間道徳的頽廃を極限において露呈している。

 そもそも、今回の民主党代表選挙とは、告示が827日、投開票が829日であり、期間わずか3日間党代表選出する???というのである。

 言うまでもなく、政策理念の陳述の時間など最大でも2日しかないし、況や、候補者同士のまともな政策論争政策討論機会など設けられるわけもない

 だが、反日極左民主党は、この事実のみにおいて、東日本大震災による犠牲者と被災者の方々、

 福島第一原発事故の被災者の方々および浜岡原発の停止措置によって生じた今夏の電力不足に対しクールビズ・サマータイム・太陽光発電等々で協力している日本国中の人々、

 直に被災現地へ赴いて震災・原発事故の復旧対策に汗水流して協力している人々など、

 すべての日本国民すべての民間企業完全無視し、愚弄しているのは明白であろう。

 少なくともバーク保守主義者である〔=ブログ作成者〕の常識から述べれば、この震災発生後わずか5カ月足らずこの時期政権与党民主党党代表選において、立候補者が上記の広範で重々しい課題の要・不要や優先順位やその財政問題への対処方針および日本国の原発とエネルギー問題(=経済産業問題)などについて、すべての日本国民に対して公開の場で堂々と充分な時間を採って詳細な議論することを全くしない、あるいは当初から議論する姿勢も見せないという異常さは、一国の政権政党政党政治家として非常識過ぎるし、100%失格である。

 反日極左民主党の政策や行動の愚鈍性本質とは、すべての民主党国会議員の「正統なる国家観欠如」と「最低限度人間道徳美徳頽廃」である。

 代表選候補者思想信条については、ここでは一切触れない

 が、all左翼なのだから、この中に真正保守自由主義者など一人としているわけがないのは自明であろう。

 最後に、反日極左民主党には完全に欠落しているが、我々の真正保守自由主義グループでは尊重する“国家国民品性美徳)”について、至極簡潔に述べている一節を世界最高の「道徳書(→「自己啓発本」ではない)」の一つであるSamuel Smiles, “Characterサミュエルスマイルズ品性論』)から抜粋して掲載しておく。

 ※ 邦訳は、〔=ブログ作成者〕、(  )内は、〔=ブログ作成者〕の補足。

 Nations, like individuals, derive support and strength from the feeling that they belong to an illustrious race, that they are the heirs of their greatness, and ought to be the perpetuators of their glory.

 It is of momentous importance that a nation should have a great past to look back upon.

 It steadies the life of the present, elevates and upholds it, and lightens and lifts it up, by the memory of the great deeds, the noble sufferings, and the valorous achievements of the men of old.

 The life of nation, as of men, is a great treasury of experience, which, wisely used, issues in social progress and improvement; or, misused, issues in dreams, delusions, and failure.

 Like men, nations are purified and strengthened by trials.

 Some of the most glorious chapters in their history are those containing the record of the sufferings by means of which their character has been developed.

 Love of liberty and patriotic feeling may have done much, but trial and suffering nobly borne more than all.1 

 1) SAMUEL SMILES, “CHARACTER”, Serenity Publishers, LLC, pp.23-24.

 護国の精神と国力は、国民各自(が家族、血縁、地縁、信仰などから形成される中間組織に対して抱くの)と同様に、その国民が――自分たちは、輝かしい民族に属しており、(古来の祖先の)偉業の相続人であり、国家の繁栄を(未来の子孫に)永続させる義務を有する国民である――と自覚することにその起源を持つものである。

 (それゆえ、護国の精神と国力を維持するためには)その国家に、回顧するに値する過去の(祖先の)偉業(=歴史)が存在するという事実が極めて重要なのである。

 (国家の)過去の偉業は――祖先の偉大な功績、高貴な苦難、勇気ある功績を思い出させることによって――現在の国民の生を安定させ、向上させ、生を支持して、さらに現在の国民の生を輝かせ、元気を起させてくれるものである。

 国民各自の生と同様に考えるならば、国家の生命とは、一つの巨大な経験――それらは、もし賢明に利用されるならば社会の進歩と改良を導くが、誤って利用されるならば、空想、妄想および失敗を招くことになる経験である――の宝庫である。

 国家は、個人と同様に、試練(を受けること)によって精練され、強固となる。

 国家の歴史の中で、最も栄光ある章節の一部は、苦難の記録を含んでおり、苦難という試練を受けることによって、国家の品性は発展してきたのである。

 (古来より国民は)自由への愛着と愛国心に起因して、多くの(国家の)偉業を成就してきたかもしれないが、その偉業のすべてを上回るほど多くの(国家の)試練と苦難に、(国民が)気高い精神で堪え忍んできたという事実も忘れてはならないのである。

 ――――――――――

 Where national character ceases to be upheld, a nation may be regarded as next to lost.

 Where it ceases to esteem and to practice the virtues of truthfulness, honesty, integrity, and justice, it does not deserve to live.

 And when the time arrives in any country when wealth has so corrupted, or pleasure so depraved, or faction so infatuated the people, that honour, order, obedience, virtue, and loyalty have seemingly become things of past; then, amidst the darkness, when honest men---if, happy, there be such left---are groping about and feeling for each other’s hands, their only remaining hope will be in the restoration and elevation of Individual Character; for by that alone can a nation be saved; and if character be irrecoverably lost, then indeed there will be nothing left worth saving.2

 2) SAMUEL SMILES, “CHARACTER”, Serenity Publishers, LLC, pp.25.

 国民が品性を維持する努力を止めるならば、その国家は滅亡に瀕していると考えてよい。

 国民が誠実、正直、清廉、正義の美徳を尊重し、実践する努力を止めるならば、そのような国家は存続する価値を失ってしまう。

 富が国民を腐敗させ、快楽が国民を堕落させ、国民が名誉、秩序、従順、高潔および忠誠の美徳は過去の遺物に過ぎないと考えていることが一見して解る時、国家は滅亡に至る。

 国民がこのような(無道徳の)暗愚の中にある時、もし幸福にも(美徳ある)誠実な国民が残っており、相互に協力して(解決策を)模索して考えるとしても、彼らに遺された唯一の希望――それに頼ること以外には、国家の滅亡を回避することができない希望――は国民各自が自己の品性を回復させ、向上させることのみである。

 しかし、もし、(不幸にも)国民の品性が回復不能なほどに喪失され、遂に守るべき(道徳)価値が全く何もなくなってしまった時、国家は滅亡に至るのである。

 ――――――――――

 次回は、保守主義の哲学---バーク『フランス革命の省察』の翻訳と解説Series-11に戻る予定である。

【平成23827日掲載】

エドマンドバーク保守主義者(神戸発)


保守主義Series-10--- E・Burke『フランス革命の省察』に学ぶ;“世襲(相続)の原理” [政治]

 読者の皆さまには、いつも〔=ブログ作成者〕の稚拙な小論をお読み頂き、深く御礼申し上げます。

 さて、今回Series 10は、エドマンドバークフランス革命の省察』の中から、英国憲法基本原理の一つある“世襲相続の原理について、バークの主張を拾い上げ、かつ今回の解説は、その重要性ゆえに、バーク保守主義(=真正保守主義であり、碩学政治哲学者である中川八洋 筑波大学名誉教授『保守主義の哲学』から、一部抜粋し、掲載させて頂くのが最善であると〔=ブログ作成者〕は判断した。

 さて、社会主義共産主義思想唯一無比強力解毒薬である保守主義の父エドマンドバークの『フランス革命の省察』における最強保守哲学日本国民拡散し、徹底周知しておくことが徐々に民主党社民党共産党その他の社会主義政党などに破壊的打撃与えていくであろうことを〔=ブログ作成者〕は確信して、エドマンドバークの『フランス革命の省察』を真正保守自由主義の立場から正しく邦訳しなおして、逐次ブログに掲載し、日本国中復活させる所存である。

 読者の皆さまにおかれましては、我々祖国日本社会主義汚染から“道徳ある自由主義”・“確固たる立憲君主制議会制デモクラシー”の真正日本国の姿へと救出奪還回復するため、“バーク保守哲学”、“真正保守自由主義哲学”の日本国全土への大拡散ご協力願いたい次第である。

 なお、邦訳文は、半澤孝麿訳(『フランス革命の省察』、みすず書房)を基礎として、細部について、前後段落等のバークの論旨忠実に従って、〔=ブログ作成者〕が補足更訂して理解しやすく改善したものである。

 邦訳文中の( )内は〔=ブログ作成者〕が補足説明したものである。

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 In the famous law of the 3d of Charles I. called the Petition of Right, the parliament says to the king, Your subjects have inherited this freedom, claiming their franchises not on abstract principles as the rights of men, but as the rights of Englishmen, and as a patrimony derived from their forefathers.

 Selden, and the other profoundly learned men, who drew this petition of right, were as well acquainted, at least, with all the general theories concerning the “rights of men,” as any of the discoursers, or on your tribune; full as well as Dr. Price, or as the Abbé Seyes.

 But, for reasons worthy of that practical wisdom which superseded their theoretic sciences, they preferred this positive, recorded, hereditary title to all which can be dear to the man and the citizen, to that vague speculative right, which exposed their sure inheritance to be scrambled for and torn to pieces by every wild litigious spirit.19

 19) Edmund Burke, Reflections on the revolution in France, Dover publications, Inc, pp.30.(『フランス革命の省察』、みすず書房、42頁に対応)

 権利請願と呼ばれるチャールズ1世治世第3年の高名な法の中で、英国議会は国王に対して「陛下の臣民はこの自由相続してきた」旨奏上しています。

 彼らは自らの諸特権を抽象的な原理に基づく「人間の権利(=人権)として」ではなく、英国民の権利(=国民の権利)として、また英国民の祖先に起源を持つ世襲財産(=世襲の権利)として要求したのです。

 この権利の請願を起草したセルドゥンその他の深い学識ある人々は、「人間の権利」に関する一般理論全般について、少なくとも我々英国の説教壇上や貴方がた(フランス国)の国民議会演壇上での演説者の誰にも負けない位良く知っていました。

 そして、(英国の)プライス博士や(仏国の)シェイエス師と同程度まで十分に知り尽くしていたのです。

 しかし、己の理論上の学識に勝る実際上の智恵を持っていた彼ら(=権利の請願の起草者たち)はその智恵に相応しい理由からして、この(古来の)明確な、記録に留められた、世襲の権利の方を採用し、およそ(一般的な)人間にとっても、(国家に属する)国民にとっても(それを獲得し、保持するのに)高価につき兼ねない権利――自分たちの確実な相続財産を、粗暴で訴訟好きな精神の人たちによる奪い合いの的となり、結局は細々に千切られてしまう危険のある、あの曖昧で思弁的な権利――の方はすべて採用しなかったのです。

 Key words and phrases

 the Petition of Right

 inherited this freedom

 the rights of men

 the rights of Englishmen

 a patrimony derived from their forefathers.

 Dr. Price

 Seyes

 practical wisdom

 their sure inheritance

 ―――――

 The same policy pervades all the laws which have since been made for the preservation of our liberties.

 In the 1st of William and Mary, in the famous statute, called the Declaration of Right, the two houses utter not a syllable of “a right to frame a government for themselves.

 You will see, that their whole care was to secure the religion, laws, and liberties, that had been long possessed, and had been lately endangered.

 “Taking*2 into their most serious consideration the best means for making such an establishment, that their religion, laws, and liberties might not be in danger of being again subverted,” they auspicate all their proceedings, by stating as some of those best means, “in the first place” to do “as their ancestors in like cases have usually done for vindicating their ancient rights and liberties, to declare;”---and then they pray the king and queen, “that it may be declared and enacted, that all and singular the rights and liberties asserted and declared are the true ancient and indubitable rights and liberties of the people of this kingdom.”20

 20) Edmund Burke, Reflections on the revolution in France, Dover publications, Inc, pp.30.(『フランス革命の省察』、みすず書房、4243頁に対応)

 我々英国民の自由を保持すべく爾後制定された法のすべてにも、同じ方針が貫かれています。ウィリアム及びメアリー治世第1年の権利の宣言(=通称Bill of Rights権利の章典」)と呼ばれる名高い制定法においても、(英国議会の)両院は「(過去や未来の世代を無視した、当時の現世代の)英国民自身のために(新たな)政府(=統治体制)を形成する権利」など、一言も発しませんでした。

 以下申しますように、(当時の世代の)英国民のすべての配慮は、(古来)長期に渡り保有されてきたものの、その当時には危機に陥っていた、英国民の宗教と法と自由を確保することに向けられていました。

 即ち(当時の)英国民は、(「権利の章典」の中で)「我々の宗教法および自由が再び転覆の危機に晒されることの無きようそれらを確立するための最善の手段について最も真剣に考慮し」、その最善の手段の一部として「先ず第一に」「我々英国民の祖先が同様の場合に彼らの古来の諸権利と自由とを擁護するために為すのを常とした如く」為し「宣言する」、と述べることから(英国議会での)全ての審議を始めます

 ――そして、その次に、国王(陛下)と女王(陛下)に対して、「主張され宣言されたすべての諸権利自由の一つ一つが、英王国の国民の真正古来かつ疑う余地無き権利と自由である旨を宣言され、かつとして制定されるよう」懇願しているのです。

 Key words and phrases

 all the laws

 for the preservation of our liberties

 statute

 the Declaration of Right

 a right to frame a government for themselves

 secure the religion, laws and liberties

 as their ancestors in like cases have usually done for vindicating their ancient rights and liberties, to declare

 they pray the king and queen

 the true ancient and indubitable rights and liberties of the people of this kingdom

 ―――――

 You will observe, that from Magna Charta to the Declaration of Right, it has been the uniform policy of our constitution to claim and assert our liberties, as an entailed inheritance derived to us from forefathers, and to be transmitted to our posterity; as an estate specially belonging to the people of this kingdom without any reference whatever to any other more general or prior right.

 By this means our constitution preserves a unity in so great a diversity of its parts.

 We have an inheritable crown; an inheritable peerage; and a House of Commons and a people inheriting privileges, franchise, and liberties, from a long line of ancestors.21

 21) Edmund Burke, Reflections on the revolution in France, Dover publications, Inc, pp.31.(『フランス革命の省察』、みすず書房、43頁に対応)

 我々英国民の自由を主張し要求するに当たって、それを、

 (古の)祖先から発して(現在の)我々に至りさらには子孫にまで伝えられるべき限嗣相続財産とすること、

 また、英王国の国民にだけ特別に帰属する財産として、何にせよそれ以外のより一般的な権利(=「人間の権利」すなわち「人権」)や先行の権利(=自然権)などとは決して結びつけないこと

 これこそ、マグナカルタ1215年)に始まって権利の章典1689年)におよぶ英国憲法(国体)の不易の方針であったということが、これで貴方にもご理解いただけることと思います。

 この方法によって、英国憲法国体)はその構成部分の間にかくも多様性がありながら、しかも一つの統一性を保持しているのです。

 我々英国民は相続すべき王位相続すべき貴族を持ち、また、永きに渡る祖先の系譜から諸特権と参政権と自由とを相続した下院と民衆を持っているのです。

 Key words and phrases

 Magna Charta

 the Declaration of Right

 the uniform policy of our constitution

 as an entailed inheritance derived to us from forefathers, and to be transmitted to our posterity; as an estate specially belonging to the people of this kingdom

 any other more general or prior right

 We have an inheritable crown; an inheritable peerage; and a House of Commons and a people inheriting privileges, franchise, and liberties, from a long line of ancestors.

 ―――――

 →“世襲相続の原理”の解説は、

 中川八洋『保守主義の哲学』、

 (クリック→)第三章「保守主義の父」バーク 第二節「世襲(相続)」の哲学

 を参照頂きたい。

 〔=ブログ作成者〕の邦訳版:権利の章典(全文邦訳)リンクはこちら。

 Bill of Rights(1689) 

 →〔=ブログ作成者〕のHome Page Top Pageへのリンクはこちら。

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【平成23820日掲載】

エドマンドバーク保守主義者(神戸発)  


保守主義Series-9(2)--- E・Burke『フランス革命の省察』に学ぶ;E・コーク卿の古来の法の再確認(2) [政治]

 保守主義Series-9(1)--- EBurke『フランス革命の省察』に学ぶ;E・コーク卿の古来の法の再確認(1)の続き。

 〔=ブログ作成者の最近の雑感

 エドマンド・バークの『フランス革命の省察』を邦訳している関係上、過去数日間に渡る「英国暴動」について少々触れておきたいと思う。

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 【産経新聞】

 英国暴動の背景に「不良グループ文化」? 略奪や破壊に便乗 警官も傍観

 2011.8.12 17:42 1/3ページ)

 英国の暴動の原因が政府の緊縮財政政策にあると考えている英国民はわずか8%。

 8月11日発表された英国民への世論調査結果で、国内の不良グループ文化が騒動に便乗したことが背景にあることが明らかになった。

 フランス通信(AFP)が伝えた。

 調査は英大衆紙サンと世論調査会社ユーガブが8~9日に2534人を対象に実施。失業問題が主な原因との回答や、人種間の対立が背景にあるとの回答もそれぞれ5%程度にとどまった。

 一方、42%が犯罪行為の蔓延(まんえん)、26%が不良グループの台頭を理由に挙げた。

 (中 略)

 2011.8.12 17:422/3ページ)

 ニック・クレッグ副首相は「(暴動2日目の)7日夜(以降)の暴動は、この機に便乗した人々による盗みと暴力以外の何物でもなく、射殺事件とは全く関係ない」と強く批判した。

 ■11歳の白人少年も

 暴動による逮捕者は、人種差別や経済格差への不満から黒人住民が中心だったが、便乗犯も多く、11歳の白人少年や裕福な家庭出身の少女もいる。

 AFPによると、レストランの料理人(43)とその兄(47)、オペラハウスの新任の守衛(19)、大学生(20)らが逮捕されたことが英社会に驚きをもって受け止められている。

 英紙ガーディアンは「誰が暴動を起こしているのかという問いに簡単な答えはない」と指摘。

 参加者の多くは貧困層の出身だが、属する人種グループは多様で、年齢層も10代~40代と幅広く、女性も加わっていたと伝えた。

 英紙フィナンシャル・タイムズは、暴徒が「警察に敵意を抱く社会で育ち、疎外され、さまざまな社会的権利を剥奪(はくだつ)された若年層の住民」とする専門家の解説を報じた。

 ■威信回復が急務

 また、警察が暴動を取り締まることができないことが便乗犯の横暴を許したとの批判が広がっている。

 2011.8.12 17:42 3/3ページ)

 ロンドンでは、8日夜に暴動が急拡大し警察官が圧倒的に不足。東部ウールウィッチ地区で、放火された建物の消火作業を見守る警察官数人の目前で略奪が横行。南部クラップハム地区でも警察官の前で略奪が行われた。

 キャメロン首相は10日、「われわれは反撃しなければならない」と述べ、暴動鎮圧に向けた強い決意を表明。

 警察に暴徒鎮圧用のプラスチック弾使用や放水車の投入を認める方針を表明した。警察はこれまでの暴動で防犯カメラに写っていた容疑者の写真を公開するなど、厳しい姿勢を見せている。

 だが、ロンドン警視庁はスキャンダルの渦中にある。

 廃刊した大衆日曜紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」による盗聴事件で同紙側との癒着を問われ、警視総監ら首脳が相次ぎ辞任。士気の低下も指摘され、来年の五輪に向けて警察の威信回復が急務だ。

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 Britain Debates Riots and Fears They Set a PatternThe New York Times, published: August 10, 2011)より一部抜粋。

 一連の暴動およびそれらがある種のパターン化する恐れについての英国の議会討論

 (Page 1 of 2)

 (省 略)

 Mr. Cameron, speaking of the inner-city gangs that the police say have played a leading role in the riots, said, “They are in no way representative of the vast majority of young people in our country who despise them, frankly, just as much as the rest of us do.”

 警察が言うところのinner-city gangs(都市貧困地区内ギャング)が暴動を煽動する役割を果たしたということについては、キャメロン(首相)は、次のように述べました。

 「率直に述べれば、彼ら(暴動を煽動した者)は、英国の(暴動を起こさなかった)残りの大多数の若者たち(の意思)を決して代表するものではありません。」

 He cited an episode relayed worldwide on YouTube in which a young Malaysian student, the bloodied victim of an attack, sat slumped on a sidewalk when he was approached by hooded young men, seemingly intent on helping him, who pulled him to his feet.

 首相は、YouTube上で世界中に中継されたエピソードを引用して言いました。

 襲撃によって出血した被害者である、一人の若いマレーシア人の学生は、フードを深くかぶった若者たちが表面上、彼を助けるかのように言って彼に近付いてきたのに、彼はそのフードの若者たちに足をすくわれ、歩道の上にドスンと尻餅をついたというエピソードでした。

 They then looted the man’s backpack, with one man pulling something out, unwrapping it, then casually discarding it onto the street.

 The victim, who had a fractured jaw, underwent surgery in a London hospital on Wednesday, according to friends.

 その時に、フードの若者たちはその学生のバックパックを奪い取り、一人の男が中から何か物を引っ張り出し、その包装を破いてから悪気もなくそれを道路に捨てたのです。

 その被害者の友人たちによれば、あごの骨を骨折したその被害者の学生は、水曜日にロンドン病院で外科手術を受けたそうです。

 “There are pockets of our society that are not just broken but, frankly, sick,” Mr. Cameron said.

 「そこに、我々の英国社会の単に壊れたというのではなく、率直に言えば、病んだ落とし穴があるのです。」とキャメロン首相は述べました。

 “When we see children as young as 12 and 13 looting and laughing, when we see the disgusting sight of an injured young man with people pretending to help him while they are robbing him, it is clear there are things that are badly wrong in our society.

 「我々英国民は、(他人から)略奪して笑っている1213歳くらいの子供たちを見るとき、あるいは一人の若者が助ける振りをして近付いてきた人々に負傷させられて、強奪されているという苛立つ光景を見るとき、我々の英国社会にひどく悪徳なものが存在するは明白でしょう。

 (Page 2 of 2)

 “The sight of those young people running down streets, smashing windows, taking property, looting, laughing as they go, the problem of that is a complete lack of responsibility, a lack of proper parenting, a lack of proper upbringing, a lack of proper ethics, a lack of proper morals,” he continued.

 趣くままに、通りを走り下り、窓ガラスを粉砕し、(他人の)所有物(=持ち物)を取り上げ、略奪して、笑っているこれらの若者たちの光景は、責任性の完全なる欠如、適切な育児の欠如、適切な子供の教育の欠如、適切な倫理の不足、適切な道徳の欠如の問題なのです」と首相は続けて述べました。

  “That is what we need to change.

 「それは、我々英国民が変えねばならない問題なのです。

  There is no one trigger that can change these things.

  It’s about parenting, it’s about discipline in schools, it’s about making sure we have a welfare system that does not reward idleness.

  It is all of those things.”

 「このような事態を変えることができる誘因は一つではありません。

 誘因は、育児についてであり、学校教育についてであり、怠惰(=勤労・勤勉の意欲の無い者)に対して報酬を与えないような福祉制度を英国が持つようにすることについてであります。

 これらの事柄のすべてが誘因なのです」

 (以下省略)

 ※ 邦訳は〔=ブログ作成者〕が行なった。

 →〔=ブログ作成者〕の解説

 今回の【産経新聞】の記事

 (→産経新聞の英国暴動発生初期の記事「ニートの若者暴徒化 過当競争・景気低迷…根深い病巣2011.8.9 21:17 」は問題の本質を経済問題に矮小化しているので別扱い。※ただし〔=ブログ作成者〕は産経新聞社支持している者であって、その記事内容毎賛否両論を展開しているだけです。

 から解るように、今般問題となっている英国暴動の原因について、英仏などの世論は、「緊縮財政8%」、「失業問題5%」、「犯罪行為の蔓延42%」、「不良グループの台頭26%」であり、経済・財政問題が主原因ではないとの判断を明確に示している。

 逆に、世論で問題視されているのは、「犯罪の蔓延不良グループの蔓延」など英国社会の抱えるモラルハザードという直接的原因であることが明白となった。

 〔=ブログ作成者〕はこのことについて、盟友ブログ「真正保守政党設立」のコメント欄811日付で「この暴動の本質は経済問題、貧困・格差問題ではない」と日本国の新聞記事の誤謬について警告文を記載させて頂いている。

 日本のマスコミは、外国で暴動が起こると、条件反射的に「経済問題」、「財政問題」、それらに関連した「貧困問題と失業問題」や「格差問題」に特化して“自由主義経済”や“自由主義”に責任を歪曲化させる傾向が非常に強い。

 この度の問題の本質は、英米の新聞社の論調を読めば、当初から上記の英仏の世論調査の結果の如く明白であったのに、正しく報道しなかった

 自由主義経済体制の下で、国際経済・国内財政状況が悪化すれば、フェビアン社会主義教義のごとく、

 「それはあなたの責任ではない。それは社会の罪なのです

 という無責任の極みを信条とし、法を犯して暴動をおこし、キャメロン英国首相保守党)が前記の演説内で述べている、

 「為す(行く)がままに、通りを走り下り、窓ガラスを粉砕し、(他人の)所有物(=持ち物)を取り上げ、略奪し、笑っている若者たち」

 の行為をを日本国のマスコミは正しい行為であるとでも言いたいのであろうか?

 立憲主義自由主義国家でそのような行為が許されるわけがないのは、小学生でもわかる「常識中の常識」であろう。

 また、自由主義社会では貧困な境遇に生まれても努力夢の実現意欲偶然の幸運生きる原動力となるため、貧困層出身者偉大な人物となるケースきわめて多い

 そのこと自体が、自由主義社会自由主義経済本質であって、このこと自体を「貧困不平等原因である」として悪視するのは明確な間違いである。

 逆に、社会主義あるいは共産主義体制下にあった、共産ロシア東欧中共支那)、北朝鮮カンボジアポルポト)の歴史を振り返って見よ。

 「貧困問題」、「格差問題」および「人民の法の下の平等」に関しては、資本主義自由主義国家より極端に劣悪で、「餓死」や「ジェノサイド」で死亡した人民の数は恐るべき多さであり、これらの国の憐れな「人民」らは、“生命生存”の“法の下の平等”さえ奪われてしまったのではなかったか?

 自由主義経済政策を「悪の根源」とみなし、前記のフェビアン主義マルクスプロレタリアートによる暴力革命主義そのものを「正しい」とみなすのは、「非常識」と「狂気」の産物でしかない。

 「平和ボケ」ならぬ「自由ボケ」、自分が自由であり得る理由さっぱり解らずに生きている自由主義国家ボケ」の暗愚である。

 日本国のマスコミは、このような思想に汚染された主観的論調が多すぎ、海外の、特に英米欧州自由主義国家のそれと乖離することが多い。

 マスコミならば、自らの報道の“真実性客観性”にもっとProfessionalとしてのPrideを持ち、誤報道に対するShameに対しては挽回すべき志を持つべきであろう。

 なお、今回の英国暴動に関する、英国保守党キャメロン首相の上記に掲げた演説は、日本国の現状に対しても極めて重要で、示唆に富むため、The New York Times, published: August 10, 2011)から一部抜粋しておいた次第である。

 最後に、読者の皆様エドマンドバークの『フランス革命の省察』の邦訳シリーズより良く理解して頂くために「権利の章典1689」を引用する場面が多くなる思われたため、前回のブログにおいて、〔=ブログ作成者〕はBill of Rights (1689) を全文邦訳しておいた。

 これまで、インターネット上にBill of Rights 1689まともな邦訳版は(〔=ブログ作成者〕が調べた限りでは)一本も無かったため、〔=ブログ作成者〕が邦訳し、ホームページ「バーク・リバイバル」に掲載した。

 参考までに、再度リンクを貼っておくので、必要に応じて参照頂きたい。

 権利の章典(全文邦訳)リンク→Bill of Rights(1689), 正式名称;An Act Declaring the Rights and Liberties of the Subject and Settling the Succession of the Crown.

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【平成23814日掲載】

エドマンドバーク保守主義者(神戸発)  


保守主義Series-9(1)--- E・Burke『フランス革命の省察』に学ぶ;E・コーク卿の古来の法の再確認(1) [政治]

 読者の皆様には、いつも〔=ブログ作成者〕の稚拙な小論をお読み頂き、深く御礼申し上げます。

 さて、今回Series 9は、エドマンドバークフランス革命の省察』の中から、“Eコーク卿の古来の法の再確認(1)”について、バークの主張を拾い上げた。

 傲慢かつ無能に加え、日本国民を騙して政府官邸居座り続けてきた菅直人首相が日本国民の約70%からの不支持・嫌悪感に屈してようやくにして8月中の退陣(?)の意向を示した。

 しかしながら、革命市民たる菅直人鳩山由紀夫民主党幹部その他日本人拉致問題容疑者(つまり北朝鮮)と親密な関係にある「市民の党」(酒井剛代表)から派生した「政権交代を目指す会」に巨額の献金を行なっていた事実などは、問題の本質が管直人首相自身にあるのではなく、「民主党」の、「無色の共産党」と思えるほどの社会主義思想それ自体にあることは、もはや疑う余地はない

 彼ら社会主義政党は、

 「理想の(地球市民」や「市民革命なるユートピア」あるいは

 共産主義国家北朝鮮」による日本人拉致被害者および家族会の方々の「人権を高らかに、さも社会的正義のごとく叫ぶが、

 自らの行動は、その主張とは真逆で、「祖国日本廃滅」、「日本国民への憎悪」、

 「虚構人権論による死刑制度廃止論絶叫」、

 「マルクス主義から発する、幸せな家族への憎悪破壊衝動からくる夫婦親子別姓推進」、

 「マルクス階級闘争思想性差への適用であり、男性らしさ女性らしさ憎悪性差相対化する悪魔ジェンダーフリー思想教育化」、

 「周辺国大量核兵器保有原発大推進を一切無視し、閉口し確固たる代替エネルギー案も示せない、矛盾に満ちた反核反原発運動」、

 「『共産党宣言』、『共産主義の諸原理』等に堂々と掲げられた私的所有廃止目的資本主義打倒目的)とした、強度累進課税重い相続税強制公債発行(=国債無限発行)などによる当面私的所有制限政策、さらには家族の廃止共産主義思想教育のための社会施設での子育て、・・・などの政策遂行」、

 ・・・等々(枚挙に遑がない!)などを平然政策として掲げながら、それらの政策が必然的に導くであろう「悲惨結果結末」については何の責任感罪悪感持っていない

 これが、社会主義者共産主義者思想および人間性本質であり、すなわち、そのような思想宗教的狂信者集団たる政党本質である。

 このことは、歴史上の社会主義国家共産主義国家で起こった事実を振り返れば明白であるし、日本国での民主党政権発足以来の政策遂行態度内容を振り返れば明々白々である。

 このような悪徳思想を、日本国から徹底的かつ早急排除し、棄却し、消滅に追い込まなければ、その思想跋扈限界に達したとき、日本国自由悠久の繁栄吹き消されてしまうであろう。

 我々日本国民祖国たる日本国は、ルソーマルクスエンゲルスウェッブ夫妻フェビアン協会空想的理論で建国された国家ではない

 ゆえに、社会主義共産主義思想唯一無比解毒薬である保守主義の父エドマンドバークの『フランス革命の省察』における最強保守哲学日本国民拡散し、徹底周知しておくことが徐々に民主党社民党共産党その他の社会主義政党などに破壊的打撃与えていくであろうことを〔=ブログ作成者〕は確信して、エドマンドバークの『フランス革命の省察』を真正保守自由主義の立場から正しく邦訳しなおして、逐次ブログに掲載し、日本国中復活させる所存である。

 読者の皆さまにおかれましては、我々祖国日本社会主義汚染から“道徳ある自由主義”・“確固たる立憲君主制議会制デモクラシー”の真正日本国の姿へと救出奪還回復するため、“バーク保守哲学”、“真正保守自由主義哲学”の日本国全土への大拡散ご協力願いたい次第である。

 なお、邦訳文は、半澤孝麿訳(『フランス革命の省察』、みすず書房)を基礎として、細部について、前後段落等のバークの論旨忠実に従って、〔=ブログ作成者〕が補足更訂して理解しやすく改善したものである。

 邦訳文中の( )内は〔=ブログ作成者〕が補足説明した。

 ―――――

 Our oldest reformation is that of Magna Charta.

  You will see that Sir Edward Coke, that great oracle of our law, and indeed all the great men who follow him, to Blackstone,*2 are industrious to prove the pedigree of our liberties.

 They endeavour to prove, that the ancient charter, the Magna Charta of King John, was connected with another positive charter from Henry I. and that both the one and the other were nothing more than a re-affirmance of the still more ancient standing law of the kingdom .

 In the matter of fact, for the greater part, these authors appear to be in the right; perhaps not always; but if the lawyers mistake in some particulars, it proves my position still the more strongly; because it demonstrates the powerful prepossession towards antiquity, with which the minds of all our lawyers and legislators, and of all the people whom they wish to influence, have been always filled; and the stationary policy of thus kingdom in considering their most sacred rights and franchises as an inheritance. 17)

 17) Edmund Burke, Reflections on the revolution in France, Dover publications, Inc, pp.29-30.(『フランス革命の省察』、みすず書房、4142頁に対応)

 *2) See Blackstone’s Magna Charta, printed at Oxford, 1795.

 ―――

 英国最古の改革は、マグナカルタ(=大憲章、1215年)と言われる改革です。

 かの偉大な英国法の告知者エドワードコーク卿、及びブラックストーンに至るまで、コーク卿(の法思想)に従う、実にすべての偉大な人々が、熱心に英国民の自由の系譜の証明に勤めているということは貴方にもお判りいただけることでしょう。

 彼らは、――ジョン国王のマグナ・カルタと言われる古来の憲章は、もう一つの、ヘンリー一世以来、実際に存在した憲章と繋がっており、しかもその両憲章のいずれもが、それより更に古い、英王国に不変の法の再確認にすぎないものだ――という真実を示そうと努力しているのです。

 そしてこれら(自由の系譜の)著述家たちは、必ずしも常にとは言えないまでも、大部分において正しいと思われます。

 しかし、たとえこの法曹家たちがいくつかの細かな点において誤っているとしても、その誤りこそが、私の立場をなお一層強く(正しいと)証明してくれるのです。

 というのもそれは、――すべての法曹家や立法者(=立法府議員)や、彼らが感化を及ぼそうと欲したすべての英国民の精神を常に満たしてきた昔日(=古き、不変な法)に対する強い愛着――や、――彼らの極めて神聖な権利や特権を(祖先からの)相続財産であるとみなす、この英王国の不変の方針――を証明しているからです。

 *2) ブラックストーンの『マグナ・カルタ』、オックスフォード版、1759年を参照せよ。

 Key words and phrases

 Magna Charta

 You will see that Sir Edward Coke, that great oracle of our law, and indeed all the great men who follow him, to Blackstone,*2 are industrious to prove the pedigree of our liberties. 

 was connected with another positive charter

 a re-affirmance of the still more ancient standing law of the kingdom

 the powerful prepossession towards antiquity

 policy of thus kingdom in considering their most sacred rights and franchises as an inheritance.

 ―――――

 →〔=ブログ作成者〕の解説

 最後の文章における、

 「というのもそれは、――すべての法曹家や立法者(=立法府議員)や、彼らが感化を及ぼそうと欲したすべての英国民の精神を常に満たしてきた昔日(=古き、不変な法)に対する強い愛着――や、――彼らの極めて神聖な権利や特権を(祖先からの)相続財産であるとみなす、この英王国の不変の方針――を証明しているからです。」

 の意味について若干説明を加えておく。

 →コークらの法思想大部分においては“正しい”が、ある特定の点については“間違っている場合もあるとは、“”とは“古来の法”の中から“再確認再発見するものであるとするコーク卿ら保守思想とその実作業継承過程において、当然、特定の点で間違える場合もあり得るのだ、ということを意味する。

 そして、エドマンドバークは、そういった「部分的には誤りもある」という事実こそが

 ――英王国および英国民の“古来の法”が、フランスにおけるデカルトの「合理主義」、ルソー革命フランスジャコバン党などの「理神論」、ヴォルテールの「無神論」、エルヴェシウスの「唯物論」などの唱える「人間完全理性による立法(=命令法)」とは全くの異質のものであるということの――

 証明であるとし、“英国法の下にある“英国民権利特権”を祖先からの“相続財産”とみなす英王国の“不変の方針”に強く支持を表明しているのである。

 ―――――

 →(『フランス革命の省察』の前記との関連部分の一部抜粋)

 Four hundred years gone over us; but I believe we are not materially changed since that the period.

 Thanks to our sullen resistance to innovation, thanks to the cold sluggishness of our national character, we still bear the stamp of our forefathers.

 We have not(as I conceive) lost the generosity and dignity of thinking of the fourteenth century; nor as yet have we subtilized ourselves into savages.

 We are not the converts of Rousseau; we are not the disciples of Voltaire; Helvetius has made no progress amongst us.

 Atheists are not our preachers; and madmen are not our lawgivers.

 We know that we have made no discoveries; and we think that no discoveries are to be made, in morality; nor many in the great principles of government, nor in the ideas of liberty, which were understood long before we were born, altogether as well as they will be after the grave has heaped its mould upon our presumption, and the silent tomb shall have imposed its law on our pert loquacity.18)

 18) Edmund Burke, Reflections on the revolution in France, Dover publications, Inc, pp.84-85.(『フランス革命の省察』、みすず書房、109頁に対応)

 ―――――

 その後400年の歳月が流れました。しかし、以来英国民は実質的に変わっていないと私は信じます。

 革命に対する英国民の頑固な抵抗のおかげで、また、英国民の国民性の冷静な鈍重さのおかげで、英国民は依然として祖先の特徴を持っているのです。

 英国民は、〔私の考えでは〕14世紀の思想の持っていた高貴と尊厳を失ってはいません。

 そして今までのところ、英国民は(フランス革命の教義に倣って)自ら(の精神)を洗練して、野蛮人化していません。我々英国民は(理神論の)ルソーへの改宗者ではありません。

 英国民は(無神論の)ヴォルテールの門弟でもありません。

 エルヴェシウス(の唯物論)は英国民の間では少しも浸透しませんでした。

 無神論者は(プロテスタントである)英国民の説教師ではありませんし、狂人が英国の立法者なのでもありません。

 我々(現在の)英国民は、――道徳性についても、統治の偉大な原理の多くについても、自由の観念についても――自分たち自身が(それらの原理や観念については)何も発見していないし、新発見などありえないと考えています。

 つまり、そうした原理や観念は、(現在の)英国民が生まれる遥か以前に理解されていましたし、(現在の)英国民の(革命協会の紳士諸君のごとき)高慢さの上に墓土が盛られ、墓石が(革命協会の紳士諸君のごとき)生意気な冗舌に沈黙の掟を課した後も、それらは何時に変わらず同じで在り続けるだろうと考えているのです。

 Key words and phrases

 the generosity and dignity

 nor as yet have we subtilized ourselves into savages.

 Rousseau

 Voltaire

 Helvetius

 Atheists

 morality

 principles of government

 ideas of liberty

 保守主義Series-9(2)--- EBurke『フランス革命の省察』に学ぶ;E・コーク卿の古来の法の再確認(2)へ続く

【平成23814日掲載】

エドマンドバーク保守主義者(神戸発)  


保守主義Series-8--- E・Burke『フランス革命の省察』に学ぶ;祖先からの相続財産=“自由と法と諸権利” [政治]

 読者の皆さまには、いつも〔=ブログ作成者〕の稚拙な小論をお読み頂き、深く御礼申し上げます。

 さて、今回Series 8は、エドマンドバークフランス革命の省察』の中から、祖先からの相続財産=“自由と法と諸権利”について、バークの主張を拾い上げた。

 傲慢かつ無能に加え、日本国民を騙して政府官邸居座り続ける卑怯首相菅直人の率いる民主党政権

 さらには、革命市民たる菅直人鳩山由紀夫民主党幹部その他日本人拉致問題容疑者(つまり北朝鮮)と親密な関係にある「市民の党」(酒井剛代表)から派生した「政権交代を目指す会」に巨額の献金を行なっていた問題は、決して知らなかった」とか「すでに返金した」などいう詭弁責任逃れできる問題ではない

 彼らは、「理想の(地球市民」や「市民革命なるユートピア」あるいは「共産主義国家北朝鮮による日本人拉致被害者および家族会の方々の人権を高らかに、社会的正義なる似非正義を叫ぶ(→ハイエクによる)が、自らの行動は、その主張とは真逆で、

 「祖国日本の廃滅」、「日本国民への憎悪」、「虚構人権論による死刑制度廃止論絶叫」、

 「マルクス主義から発する、幸せな家族への憎悪破壊衝動からくる夫婦親子別姓推進」、

 「マルクス階級闘争思想性差への適用であり、男性らしさ、女性らしさを憎悪相対化する悪魔ジェンダーフリー思想教育化」、

 「周辺国大量核兵器保有原発大推進を一切無視し、閉口する、矛盾に満ちた反核反原発運動」、

 「『共産党宣言』、『共産主義の諸原理』等に堂々と掲げられた私的所有廃止目的資本主義打倒目的)とした、強度累進課税重い相続税強制公債発行(=国債無限発行)などによる当面私的所有制限政策、及び家族の廃止共産主義思想教育のための社会施設での子育て、・・・などの政策遂行」、

 ・・・等々(枚挙に全く遑がない!)などを平然と行ないながら、それらの政策が必然的に導くであろう「悲惨な結果結末」については何の責任感罪悪感持たない

 これが、社会主義者共産主義者思想および人間性本質であり、すなわち、そのような思想狂信者集団たる政党本質である。

 このことは、歴史上の社会主義国家共産主義国家で起こった事実を振り返れば明白であろう。

 このような悪徳思想は、日本国から徹底的排除し、棄却し、消滅しなければならない

 我々日本国民祖国たる日本国は、ルソーマルクスエンゲルスウェッブ夫妻フェビアン協会空想的理論で建国された国家ではない

 ゆえに、社会主義共産主義思想唯一無比解毒薬である保守主義の父エドマンドバークの『フランス革命の省察』における最強保守哲学日本国民拡散し、徹底周知しておくことが徐々に民主党社民党共産党その他の社会主義政党などに破壊的打撃与えていくであろうことを〔=ブログ作成者〕は確信して、エドマンドバークの『フランス革命の省察』を真正保守自由主義の立場から正しく邦訳しなおして、逐次ブログに掲載し、日本国中復活させる所存である。

 なお、邦訳文は、半澤孝麿訳(『フランス革命の省察』、みすず書房)を基礎として、細部を〔=ブログ作成者〕が更訂して理解しやすくしたものである。なお、邦訳文中の( )内は〔=ブログ作成者〕が補足説明したものである。

 The third head of right, asserted by the pulpit of the Old Jewry, namely, the “right to form a government for ourselves,” has, at least, as little countenance from anything done at the Revolution, either in precedent or principle, as the two first of their claims.

 The Revolution was made to preserve our ancient indisputable laws and liberties, and that ancient constitution of government which is our only security for law and liberty.

  If you are desirous of knowing the spirit of our constitution, and the policy which predominated in that great period which has secured it to this hour, pray look for both in our histories in our records, in our acts of parliament, and journals of parliament, and not in the sermons of the Old Jewry, and the after-dinner toasts of the Revolution Society. ---In the former you will find other ideas and another language.

 Such a claim is as ill-suited to our temper and wishes as it is unsupported by any appearance of authority.

  The very idea of the fabrication of a new government, is enough to fill us with disgust and horror.

  We wished at the period of Revolution, and do now wish, to derive all we possess as an inheritance from our forefathers.

 Upon that body and stock of inheritance we have taken care not to inoculate anything alien to the nature of the original plant.

 All the reformations we have hitherto made, have proceeded upon the principle of reference to antiquity; and I hope, nay I am persuaded, that all those which possibly may be made hereafter, will be carefully formed upon analogical precedent, authority, and example.16)

 16) Edmund Burke, “Reflections on the revolution in France”, Dover publications, Inc, pp.28-29.(『フランス革命の省察』、みすず書房、4041頁に対応)

 旧ユダヤ人通りの(革命協会の)説教壇(の紳士諸君)が言いたてる権利の第3項目、即ち「我々自身のために政府を形成する権利」もまた、彼らの先の二項目の主張と同様、先例原則(=歴史事実と憲法の諸原理)いずれの見地からしても、少なくとも名誉革命に際してなされたどんな事実からも支持されるものではありません。

 名誉革命が行なわれたのは我が英国古来の議論の余地無き現実の法と自由を護持するためであり、また、我々英国民にとっては、法と自由に対する唯一の保障である、あの古来の英国の国体を護持するためでした。

 もしも貴方が英国憲法の精神を知りたいお望みならば、また、英国憲法を今現在に至るまで保障してくれた、あの偉大な時期の支配的な国策を知りたいとお望みならば、

 どうか英国の歴史英国の裁判記録英国議会の法令や議会の議事録の中に、それらをお探しいただきたいのであり、

 間違っても旧ユダヤ人通りの(紳士諸君の)説教や革命協会の食後の乾杯の挨拶などの中にお探しになってはなりません。

 前者の中には後者とは別の思想と別の用語があることがお判りいただける筈です。

 後者の主張は英国民の国民性や願望とは合致しませんし、また同様に、(英国民が)その主張を支持し得るほどの権威らしきものは何もありません。

 新しい統治体制を構築するというまさしくその思想だけでも、英国民(の心情)を嫌悪と恐怖で一杯にするのに充分なのです。

 名誉革命の時期において、我々英国民は、我々が所有するものすべてを、我々の祖先からの相続財産として、そこに(自由と諸権利の)起源を求めるよう懇請しましたが、そのことは現在でも変わっておりません。

 本々の植木の性質にそぐわないものを、そうした相続財産たる幹や元株に接ぎ木しないよう、我々英国民は注意を払ってきました。

 今までのところ、我々英国民が行なってきた(国体に関する)すべての改革は、昔日に照らす(=故きを慍ねて新しきを知る)という原理に基づいてきました。

 そして今後、ことによると為されるかも知れないすべての改革も、

 古来の先例(→前記のin our histories:「英国の歴史」と対照)や

 古来の権威ある判例(→前記の:in our records「英国の裁判記録」と対照)や

 古来の英国議会の行動事例(→前記の:in our acts of parliament, and journals of parliament「英国議会の法令や議会の議事録」と対照)

 を真似て慎重に行なわれることを私は願っているのみならず、そう確信しているのです。

 Key words and phrases

 The Revolution was made to preserve our ancient indisputable laws and liberties, and that ancient constitution of government which is our only security for law and liberty.

 If you are desirous of knowing the spirit of our constitution, and the policy which predominated in that great period which has secured it to this hour, pray look for both in our histories in our records, in our acts of parliament, and journals of parliament,

 The very idea of the fabrication of a new government, is enough to fill us with disgust and horror.

 we possess as an inheritance from our forefathers.

 All the reformations we have hitherto made, have proceeded upon the principle of reference to antiquity; and I hope, nay I am persuaded, that all those which possibly may be made hereafter, will be carefully formed upon analogical precedent, authority, and example.

 〔=ブログ作成者〕の解説

 〔=ブログ作成者〕にとっては、エドマンドバークの『フランス革命の省察』は、ようやくこの辺りから“本論へ入っていく、という感じさえある。

 今回のパラグラフは、バーク哲学の“世襲の原理”の概論的なものとして抽出している。

 我々、現在日本国民享受している“憲法”、“自由および諸権利”および“政治体制”は、現在の日本国民のみによって、全く新しく創造されたものではなく日本国二千年以上に及ぶ歴史上皇祖皇宗及び日本国の祖先が、祖先から子孫へと“世襲による相続”を繰り返し現在の日本国民まで“継承”され、送り届けられた遺訓”及び“相続財産である認識せねばならない。

 日本国という国家の“国法”やそれによってのみ擁護されて存在しうる国民自由諸権利”あるいは“伝統”や“慣習”は祖先から子孫への「」の繋がりの連続の中で、自生的に発生自然成長してきた歴史的文明的遺産なのであって、決してルソーマルクスのような「デカルト的設計主義合理主義」の「机上の設計図」に基づいて、特定の時代特定の人間独自計画的創造して、建設したものではない

 そのような事実に気づくことができるならば、我々はもっと皇祖皇宗畏敬し、もっと日本国の祖先尊崇して感謝し、日本国固有の“国法”、“伝統”、“慣習”を尊重丁重に扱わねば御先祖申し訳が立たないと感じるだろうし、御先祖我々にして下さったとおりに我々自身子々孫々により良き日本国世襲相続し、送り届けるべき責任感があるのだと自覚されるのではなかろうか。

 これが、バーク哲学の“世襲の原理”、“祖先からの相続財産としての法、自由諸権利”の概説である。

 なお今後、読者の皆様エドマンドバークの『フランス革命の省察』の邦訳シリーズの続編をより良く理解して頂くために「権利の章典1689」を引用せねばならない場面が多くなる思われたため、この度、〔=ブログ作成者〕はBill of Rights (1689) を全文邦訳した。

 これまで、インターネット上においてBill of Rights 1689まともな邦訳版は(〔=ブログ作成者〕が調べた限りでは)一本も無かったため、〔=ブログ作成者〕が邦訳し、ホームページ「バーク・リバイバル」に掲載した(実は今回は、こちらの作業に労力を要してしまった次第である)。

 参考までに、リンクを貼っておくので、必要に応じて参照頂きたい。

 権利の章典(全文邦訳)リンク→Bill of Rights(1689), 正式名称;An Act Declaring the Rights and Liberties of the Subject and Settling the Succession of the Crown.

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【平成2388日掲載】

エドマンドバーク保守主義者(神戸発)