保守主義Series-13---E・ Burke『フランス革命の省察』から学ぶ;法と美徳と自由 [政治]
読者の皆さまには、いつも私〔=ブログ作成者〕の稚拙な小論をお読み頂き、深く御礼申し上げます。
さて、今回Series 13は、エドマンド・バーク『フランス革命の省察』の中から、“法と美徳と自由”と題して、バークの主張を拾い上げ、若干の解説を加えたいと思う。
私〔=ブログ作成者〕は、社会主義・共産主義思想の唯一無比の強力な解毒薬である保守主義の父・エドマンド・バークの『フランス革命の省察』(→世界標準では、「保守主義のバイブル」と呼ばる)の最強の保守哲学を日本国民に拡散し、徹底周知し続けることが徐々に民主党、社民党、共産党その他の社会主義政党などに徐々に破壊的打撃を与えていくであろうと確信して、エドマンド・バークの『フランス革命の省察』を真正保守(自由)主義の立場から邦訳して、逐次ブログに掲載し、日本国中に復活させるスタンスを保守する所存である。
読者の皆さまにおかれましては、我々の祖国日本を社会主義汚染から“道徳ある自由主義”・“確固たる立憲君主制+議会制デモクラシー”の真正の日本国の姿へと救出・奪還・復活するため、「極左カメレオン政党の変色擬態」に決して惑わされることなく、“バーク保守哲学”、“真正保守(自由)主義哲学”の日本国全土への大拡散に、ご協力願いたい次第である。
邦訳文は、半澤孝麿訳(『フランス革命の省察』、みすず書房)を基礎として、細部について、前後の段落等のバークの論旨に忠実に従って、私〔=ブログ作成者〕が補足・更訂して理解しやすく改善したものである。
ただし、今回ブログで抜粋した部分に対応する、半澤孝麿訳(『フランス革命の省察』、みすず書房)の訳文の一部には、明白な誤訳箇所があり、その誤訳の影響で、この段落では全体として、バークの思想が正しく伝わっていないと思われるため、恐れながら今回私〔=ブログ作成者〕が邦訳を修正させて頂いたつもりである。
邦訳文中の( )内は私〔=ブログ作成者〕が補足説明したものである。
さらに、今回は、ブログの末尾に、サミュエル・スマイルズ『品性論』から、ほんの数段落だけであるが、“家における母親の役割”に関する部分を抜粋して邦訳したので「CHARACTER CHAPTERⅡ---HOME POWER」と題して掲載することにした。
ここに抜粋した段落は短文のものばかりであるが、それを一読するだけで、スマイルズ『品性論』の持つ道徳的価値が理解できるであろう。
また、前回のブログにおいて、M・サッチャー(『サッチャー回顧録[上][下]下』、日本経済新聞社)および(『サッチャー私の人生[上][下]』、日本経済新聞社)から幾つかの項目を抜粋して、サッチャー保守主義の概要を纏めて「サッチャー保守主義読本」として掲載したが、今回もこれを“サッチャー保守主義”の外観を知るための参考資料としてリンクを添付することとした。
Would it not, my worthy friend, have been wiser to have you thought, what I, for one, always thought you, a generous and gallant nation, long misled to your disadvantage by your high and romantic sentiments of fidelity, honour, and loyalty; that events had been unfavourable to you, but that you were not enslaved through any illiberal or servile disposition; that in your most devoted submission, you were actuated by a principle of public spirit, and that it was your country you worshipped, in the person of your king?
Had you made it to be understood, that in the delusion of this amiable error you had gone further than your wise ancestors; that you were resolved to resume your ancient privileges, whilst you preserved the spirit of your ancient and your recent loyalty and honour; or, if diffident of yourselves, and not clearly discerning the almost obliterated constitution of your ancestors, you had looked to your naighbours in this land, who had kept alive the ancient principles and models of the old common law of Europe meliorated and adapted to its present state---by following wise examples you would have given new examples of wisdom to the world.
You would have rendered the cause of liberty venerable in the eyes of every worthy mind in every nation.
You would have shamed despotism from the earth, by showing that freedom was not only reconcilable, but as, when well disciplined it is, auxiliary to law.
You would have had an unoppressive but a productive revenue.
You would have had a flourishing commerce to feed it.
You would have had a free constitution; a potent monarchy; a disciplined army; a and venerated clergy; a mitigated but spirited nobility, to lead your virtue, not to overlay it; you would have had a liberal order of commons, to emulate and to recruit that nobility; you would have had a protected, satisfied, laborious, and obedient people, taught to seek and to recognize the happiness that is to be found by virtue in all conditions; in which consists the true moral equality of mankind, and not in that monstrous fiction, which, by inspiring false ideas and vain expectations into men destined to travel in the obscure walk of laborious life, serves only to aggravate and embitter that real inequality, which it never can remove; and which the order of civil life establishes as much for the benefit of those whom it must leave in an humble state, as those whom it is able to exalt to a condition more splendid, but not more happy.
You had a smooth and easy career of felicity and glory laid open to you, beyond anything recorded in the history of the world; but you have shown that difficulty is good for man.26
26) Edmund Burke, “Reflections on the revolution in France”, Dover publications, Inc, pp.34-35.(『フランス革命の省察』、みすず書房、47~49頁に対応)
貴方は私の尊敬すべき友人だからこそ申し上げましょう。
私としては、何時も貴方がた(フランス国民)のことを、寛大で勇敢な国民であると考えてきました。
貴方がたは、そのように考える方が、誠実、名誉および忠誠という高貴で物語風の感情によって、長い間、誤って導かれてきたために、自分たちは不利益を被ってきたのだ、などと考えるよりも賢明だったのではないでしょうか。
また、事の成り行きこそ不運だったにせよ、貴方がたはどんな偏狭、卑屈な気質にも隷属することはなかったし、貴方がたが最も献身的に服従する時には、公共心の原理に従って行動したし、貴方がたが尊崇したのは、国王のいる王国であったと考えたほうが賢明であったのではないでしょうか?
どうして貴方がたは、この好感を抱ける誤謬
(=誠実、名誉および忠誠という高貴で物語風の感情によって長い間、誤って導かれてきたと考える誤謬)
に惑わされた時、自分たちが、賢明な祖先以上の昔へと遡ってしまったということを(人々に)理解できるようになさらなかったのでしょうか。
どうして、古来より継承され現在に至る忠誠と名誉の精神を保持している間に、貴方がたの古来の諸特権(=諸権利)を回復する決意であることを(人々に)理解できるようになさらなかったのでしょうか。
あるいはもし、貴方がたが、ほとんど消滅しかかっていた祖先の憲法を明瞭に認識できなかったなら、どうしてこの国にいる隣人
――ヨーロッパの古きコモン・ローという古来の原理と規範とを改善し、現状に適合させて生き生きと保持してきた隣人(=英国、英国民)――
に注意を御向けにならなかったのでしょうか。
賢明な実例(→英国の名誉革命)に従うことによって、貴方がたは、世界に対して新たな智恵の実例(→第二の名誉革命のごとき実例)を示すことができた筈です。
すべての国家のすべての卓越した精神の眼前に、自由の大義を尊重すべきものとして提示できた筈です。
自由は法と調和するばかりか、それ(=自由)が良く訓練された場合には、法の補完物たることを示すことを通して、専制政治を恥じ入らせてこの地上から退散させた筈です。
抑圧的でなく、しかもしかも実りの多い歳入を得ていた筈です。
その歳入を支える繁栄した商業を手に入れていた筈です。
更に、自由の憲法、強力な立憲君主制、規律ある軍隊、改善され尊敬を捧げられている聖職者、貴方がたの美徳を抑圧するのではなく、導いていく温厚であるが勇敢な貴族、そのような貴族を模倣し、また貴族の補給源ともなる自由な秩序をもつ庶民、保護され満ち足りていて、勤勉でしかも従順な民衆
――境遇の如何を問わず、美徳によって見出される幸福を追求し、知るように教えられた民衆――
等々を持っていた筈です。
実際、人類の真に道徳的な平等とはこの美徳の中にこそあれ、何か怪しげな虚構(→革命フランスの人権理論など)
――その虚構が、困難な人生を覚束ない歩みで進んでいくように運命づけられた人間(という存在)に、間違った思考と空虚な期待を抱かせ、また決して取り除くことのできない、あの現実の不平等を悪化させ、一層ひどくするのです。
その現実の不平等とは、卑賤の境遇にとどまらねばならない人々に対しても、より華麗ではあるが、さりとて(それだけ多くの義務を負うなどして、必ずしも)より幸福だとは言い難い境遇に上昇可能な人々に対しても、等しく利益になるように文明人の秩序が定めた不平等なのです――
の中(→怪しげな虚構の中)にはありません。
貴方がた(フランス王国)の前には、世界の歴史の中で記録された何ものにも勝って平穏で気楽な幸福と栄光の道が開けていました。
それなのに、貴方がたは(革命を起こすことによって)艱難は人間にとって有益なものであるという怪しげな虚構を(世界に)見せつけてくれたのです。
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【平成23年9月25日掲載】
エドマンド・バーク保守主義者(神戸発)